レシピで見かける、“粉をふるう” “生地を休ませる” “練らずにさっくりと切り混ぜる” と言う表現。
それぞれ、なぜそうするのか理由が気になったことはありませんか?
共通するキーワードは小麦粉。
クッキーやケーキ、粉をふるわなくっても、生地を休ませなくても、練り混ぜたって、食べられるお菓子はできます。
でも、その省いてしまった工程こそが美味しさを左右する大きなポイントだったりもします。
それをするかしないかによって、味に大きく差が出るんです。
逆に、粉を入れているのにふるわなくて良かったり、練っても良かったりするものもあります。
それはなぜか、理由がわかれば失敗の原因がわかったり、もっと美味しくお菓子を作れるようになるかもしれません。
~粉をふるう・生地をこす~
異物を取り除いたり、仕上がりの口当たりを良くするために行う工程です。
薄力粉は特にだまになりやすい性質があるので、ふるって粉に空気を抱き込ませることで他の材料と混ざりやすくなります。
粉がだまになったまま使用すれば均一に混ざりにくく生地もだまになったり、焼きあがったあとも一部だけ粉っぽかったりして、口当たりが悪くなります。
ココアパウダーやベーキングパウダーを一緒にふるうのも、均一に混ざるようにするためです。
漉すと言う作業も、あまりしっかり混ざっていない部分があった時などに取り除けることで食感がよくなりますよね。
だからフードプロセッサーなど機械で混ぜる場合はふるわなくても充分切り混ざるのでOKとされる場合もあります。
これは粉が入っていなくてもゼリーやプリン、料理などにも欠かせない作業です。
~粉をさっくりと切り混ぜる・お菓子に薄力粉が使われる理由~
粉を加えたらゴムベラでさっくりと切り混ぜる工程は、練ってしまうと小麦粉に含まれるたんぱく質がグルテンを形成してしまうため。
グルテンができすぎると生地が固くもっちりとした食感になり、ケーキなどは膨らみにくくなります。
だからパウンドケーキと同じ作り方の材料の、薄力粉をアーモンドパウダー変えて焼くクレームダマンド(アーモンドクリーム)は、分量や作り方は同じでも小麦粉が入らないのでしっかりと練り混ぜることができるんです。
逆にパンやうどんはもっちりさせたいので、よく捏ねます。
パンやうどんに強力粉が使われるのも、グルテンを作るたんぱくを多く含む粉のため。
だからたんぱく質が少ない薄力粉を、お菓子作りには用いることになるのです。
それならグルテンを発生させないために粉を加えたらあまり混ぜないほうが良いのかと言うと、そうではなく、粉を混ぜなさ過ぎると粉っぽくなり、グルテンが全く発生しないと膨らんだ生地を支える事が出来ずに潰れやすくなってしまいます。
混ぜ過ぎも、混ぜなさ過ぎも失敗する原因なので、そこは回数を重ねた練習と経験から来る勘をつかんで行きましょう。
~生地を休ませる~
マドレーヌやタルトなどの生地を作った後に生地を休ませるのは、粉の粒子に水分を行き渡らせるためや、傷ついた生地の成分がつながるまでの待ち時間だったり、発生したグルテンの力を弱めるため。
例えばマドレーヌの生地を休ませずに焼いた場合、粉に水分が行き渡っていなければ粉っぽくなったり、しっとりさに欠ける仕上がりになってしまいます。
タルト生地は、グルテンが発生して弾力がある状態のままでは生地を伸ばしても元に戻ろうとする力が働いてしまい伸びづらく、休ませずに焼くと焼き縮みしてしまうのはそのためなんです。
クッキーは、冷やして含まれているバター分が固まることによっても型を抜きやすくなりますよね。
でも絞りだしクッキーやドロップクッキーなど休ませずに焼くクッキーもあります。
それは、型抜きの生地だと何度か伸ばしたりまとめたりする作業があるのでグルテンの力を弱めなければいけませんが、絞り出し生地は伸ばしたり抜いたりする必要がないため。
更に絞り出すためには柔らかさが必要なので、冷えて固まってしまっても困るからです。
そして生地を作り終えた後に時間が立ってグルテンが形成されてしまうと、口金から出にくくなってきれいに絞れないため、型抜き生地とは逆に休ませる時間をおかずに絞り出すことがポイントになってきます。
~“手抜き”と“簡単”レシピの違い・家庭でのお菓子作り~
これらの工程は、魚料理や肉料理だって、下処理をしなければ生臭くなるのと同じよう感じと言えばわかりやすいでしょうか。
工程の理由を理解していれば、作りたいお菓子のレシピを調べた時にたくさんのレシピが出てきてどれを参考にして良いものか迷うことがあってもひとつの目安になります。
例えばよく“簡単にできる”と言うレシピに行き着いた時、それは必要な肯定を省いている“手抜き”なのか、省いてはいけない工程だけはしっかりやっていて後をシンプルにしているから簡単なのかなど、ある程度見極めることができるようになってきます。
でも“省いてもあまり自分にとって味は変わらない”と言う工程もあるかもしれません。
それならそれで、自分にとって美味しく出来さえすれば自由で良いと思います。
色々と省いてあるレシピだって、普段作らない人が “お菓子を作ってみよう” と考えるきっかけになるなら、それもアリ。
プロならともかく、家庭では気持ちがこもっていたり、自分が楽しく作れるかと言うほうが技術よりも先になくてはならない大切な部分。
その気持ちでお菓子の味も変わってくると個人的には感じています。
ここで紹介したお菓子作りに必要な工程は一部ですが、その時々で省いても良いのか、省いたらどうなるのか、省かないほうが良いのか、それを考えた時の判断のお手伝いになれば嬉しい限りです。
