記事によると、日本のGDPに占める教育機関への財政支出の割合は3.6%で、最下位だったそうです(ただし、比較可能でない国は除く)。なんと3年連続で最下位です。
トップのデンマークの7.5%で、日本の2倍以上です。平均の5.4%と比べてのはるかに及ばないという状況です。ただし、教職員の給与はだいたい平均よりすこし良いようです。
ヨーロッパであれば教育費に対してこれほど支出が少なければ大問題になっているはずですが、実際はそうはなっていません。
なぜでしょうか?
その一番の要因は、教育支出が低いわりに、生徒の学力低下がさほど起こっていないからです。
・・・などと指摘すると、「さすがに日本の教師は優秀だ!」と思う方もいらっしゃるでしょう。残念ながら、さにあらず。これにはカラクリがあります。
日本は学習塾が発達しています。ゆくゆくは子供を大学に入れたいと思っている親御さんは、たしょう授業料がかかっても教育の充実した私立学校に入れるか、学習塾に入れるか、多くの場合はその二者択一です。
たしかに公立学校に行かせれば教育費は高くはありませんが、学習塾は100%親が負担していますから、けっきょく子供の学力を向上させようと思えば親が負担するしかないのです。
ヨーロッパには日本のような学習塾はほとんどなく、「子供の勉強は学校がやるもの」と多数の人が考えています。
たとえば教師志望者が多いフィンランドでは、教師になれるのは希望者の10人に1人という狭き門で、しかも大学院を出ていることが必須です。また、少人数で授業以外の負担はないぶん、毎日、自宅で授業計画にたっぷり時間をかけています。
それに対して、日本では多くの親が、学校ではアテにならないからと学習塾のぶんを負担しますから、公的支出の肩代わりをさせられているようなものなのです。
3.6%という低い教育支出で学力低下が起こらないのは、それにプラスして親が負担しているからです。そのぶんを足せば、おそらくヨーロッパの人たちが税金から負担しているぶんとさほど差はないのではないかと思います。
なぜこのような状況が起こるかというと、1つには子供には投票権がないことでしょう。
「何をバカなことを言っている!」と思う方もいらっしゃるでしょうが、実際、福祉支出は高齢化に合わせて順調に伸びています。政治家は「落選すればただの人」ですから、いちばん票を持っている退職世代以上が喜ぶような政策にどうしても目が向いてしまうのです。
当落ぎりぎりの政治家が、選挙演説で「これ以上、教育費を減らしてはいけない! 年配者の有権者のみなさま! 孫の世代のためにすこし我慢をしましょう!」と主張したら、おそらく落選するでしょう。
そうなると、教育費を充実させるために行動する政治家など出現しようがありません。
これをひっくり返すには、最後は若い世代や子育て世代が棄権をしないで投票するしかありません。政治家を動かすには投票以上に効果のあるものはありません。
教育費が少ないもう1つの原因は、教師が「何でも屋」をやらされて、良い授業をする準備ができないために、「教えるプロ」である塾講師のほうがどうしても教えるのがうまいということがあります。
公的支出を塾に振り向けるなどと言ったら国民の大部分が抵抗するでしょうし、塾側も国家にコントロールされたくないでしょう。そうなると、やっぱり親が負担するという形を取らざるをえません。
現状がベストというわけではないのですが、それに代わるようなすばらしい案があるわけでもありません。
教育支出がドラスティックに増えるということが考えにくい以上、心がけてすこしずつ変えていくしかありません。
どうすればかはいちおう腹案はありますが、またの機会ということで。

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