20代の働く環境が厳しくなったのは、ここ10年で経済的な状況が大きく変わったためである。
では、経済環境が良くなれば、働く条件も上向いてくるのだろうか。ある程度はそうだろう。だが、彼らの環境が厳しくなった土台には、景気の良し悪しなど問題にならないくらい大きな変化があると考えている。
では、ここまでどんな変化があったのか、時系列でざっと追っていく。
企業というものは社員を使って経済活動=商売をする1つの複合体である。企業が大きくなると、社員を増やして商売の規模を大きくしていく。
では、企業はなぜ外部スタッフではなく社員を雇うのだろうか?
それは、同じ価値観を持った者が、同じ場で働いたほうが効率がいいからである。
会社内で共通の目標である「会社の利益」を追求し、同じ場に集まることで情報を共有するためだと考えればいいだろう。
日本企業の製品が他企業の作れないような優れたものであるときはこれでやっていけたのだが、新興国の技術力が高まるとこれではやっていけなくなる。
なぜ新興国の技術力がここに来て大きく伸びたかというと、ITの発達で情報とマネーが国境を越えて自由に行き来できるようになったことが大きい。
有名なトヨタの看板方式(ジャストインタイム方式)による生産も、IT技術が使えば比較的やりやすい。かつてトヨタにしかできなかったジャストインタイムによる生産方式を他国企業もできるようになれば、トヨタの優位性が低下していく。
また、ITによって情報とマネーが自由になれば、製品を作る場所は日本でなくてもよくなる。
すると、人件費の安い途上国に日本企業の工場ができる。工場ができれば、やがて技術の一部がその国に移転する。そうやってその国の技術力が高まると、今度はその国の企業が同じ技術を使って製品を作るようになる。
最後は、その国の企業に日本企業はどんどんシェアを奪われていくことになる。IT技術が発達すると、人件費の安い国の製品が人件費の高い国の製品を駆逐していくのが自然の流れである。
すると、日本企業はだんだん儲からなくなっていく。一部の企業は高級化に成功して高級ブランドとして残るかもしれないが、大多数は価格競争に巻き込まれる。
しかし、どこの国の企業の工場がすでに途上国(新興国)にあるので、製品原価を大きく下げるのは困難だろう。製品の価格を下げるために企業自体のコストを下げるしかない。
その結果、企業でおこなわれたのが「リストラ」である。リストラはそれまで企業が抱えていた「不採算部門」や「余剰人員」を削ることである。次に着手されるのが人件費の削減であるで、役員報酬や賞与(ボーナス)が削られることになる。
ただ、日本企業は年功序列制と終身雇用制を採っているところが多く、いくら人件費の削減が必要でも一度上がった給与はなかなか下げられないしくみになっている。そこで、「給与の上昇を抑える」「採用を減らす」の2つで対処するしかない。
その結果、若い層はなかなか給料が上がらなくなり、また新卒者は大企業に入るのが難しくなる。これが現在の状況である。
では、次に何が待っているのだろうか?
多くの者が給料が上がらないという状態でやっていかなければならないが、それだと「次」を担う人材がとれなくなっていき、多くの企業が停滞してまい、社会状況の変化に対応できなくなってくるはずである。するとどうなるか。
ヒントとなるのは「会社に30代が少ない」という現在の状況である。もしあらゆる会社で30代が少ないのであれば、現在の40代が会社のトップや中間管理職になるころに中堅となってくれる人数が足りなくなる。
極端に言ってしまえば、多くの会社が「管理職だらけで、あとは新人くらいしかない」という状態である。会社の土台を担い、次世代の管理職になるべき会社のノウハウを知る平社員がいなくなるのである。
つまり、ゆくゆくは日本企業は崩壊する運命にある。しかも、それは「近い将来」と言っていいくらい差し迫っていると言っていいだろう。
続きます。

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