火の鳥
このエントリは「ブラックジャック」の続き。
火の鳥は、手塚治さんの人生観が非常にあらわれている作品だと思う。僕は分厚い単行本をすべて一度に買ってきて短い期間に一気に読んだ。火の鳥は最高傑作だと思うけど、一部のオチが少し気にいらないものがあった。こんな結末だともっと良かったのにとか。どの巻だったかは忘れてしまったが。
僕の人生観は、根幹のところでは因果応報を否定している。(できれば否定したい)
部分的には因果応報的に見えるかもしれない。これはちょうど占いが当たっているように見えるのと似ている。僕は細木和子さんの対極にあるのかもしれない。
ある連続殺人犯の手記を読んだことがある。逃亡生活のなか、犯人が唐津競艇場を訪れた。彼はツキまくり、これほど悪いことをしているのに、なぜ良いことばかり続くのだろうと思ったと言う。
因果応報と言うのは、清く正しく生きれば、人生が好転するという宗教的な考え方だと思う。同じ悪いことが起こるなら、正しいことを行っていた場合の方がそうでない場合より諦めがつきやすい面は確かにある。数々の悪事の後なら、やはりあれが悪かったかとか、悔いることが多いだろうから。
因果応報の考え方だが、精神科医としていろいろな人生を見る限り、とうていそのようには見えない。少なくとも現世に関しては。
良いことをしたから良い人生になるとか、良いことをしたから報われるというなら、重い統合失調症や重い躁うつ病の人の人生が説明できない。
彼らは、もともと何か悪いことをしたとか、何か過失があってそうなったわけではないから。
そんな風に考えていくと、同じ医師でも僕と手塚治さんでは人生観が少し異なるのではないかと思うようになった。次の人生で良いことがあるというような来世の考え方をする人もいるかもしれない。火の鳥では、魚として生まれ変わるように書かれているものが実際にある。でもそういうことは証明できないし、だいたい誰だって前世がどんな人生だったか思い出せないから意味ないと思う。
僕は宗教とは程遠いところにいるのかもしれない。タイでは仏教の教えで、死んだら来世があると思うようで自殺が多いという。現世がダメなら来世にかける考え方なのだろう。
僕は、死後の世界は、あるかどうかさえわからないものだし、ひょっとしたら真っ暗な世界かもしれないと思っている。転生の話だって、次はあるとしてもアブラゼミかもしれないし。
僕のこの考え方は、きわめて現実主義的であって、同意できない人もいるかもしれない。こういう考え方は今の僕の治療スタイルに影響している。現実主義的だからこそ電撃療法もするし、うまくいかない場合、いろいろな治療法を際限なく試みていく。治療においてQOLを重視するのはきっとそういう考え方が背景にある。
そのやり方は、結果的に功を奏しているのである。
例えば、統合失調症の場合、合わない薬物療法を10年続けてもたぶん意味がない。それは単に時間と人生の無駄だ。
自殺が完全に否定されるのは、死んだら、そこは真っ暗な世界かもというのも30%くらいある。
参考
どのようないきさつで医学を志したか
ジェイゾロフト
外来の電撃療法(その2)
火の鳥は、手塚治さんの人生観が非常にあらわれている作品だと思う。僕は分厚い単行本をすべて一度に買ってきて短い期間に一気に読んだ。火の鳥は最高傑作だと思うけど、一部のオチが少し気にいらないものがあった。こんな結末だともっと良かったのにとか。どの巻だったかは忘れてしまったが。
僕の人生観は、根幹のところでは因果応報を否定している。(できれば否定したい)
部分的には因果応報的に見えるかもしれない。これはちょうど占いが当たっているように見えるのと似ている。僕は細木和子さんの対極にあるのかもしれない。
ある連続殺人犯の手記を読んだことがある。逃亡生活のなか、犯人が唐津競艇場を訪れた。彼はツキまくり、これほど悪いことをしているのに、なぜ良いことばかり続くのだろうと思ったと言う。
因果応報と言うのは、清く正しく生きれば、人生が好転するという宗教的な考え方だと思う。同じ悪いことが起こるなら、正しいことを行っていた場合の方がそうでない場合より諦めがつきやすい面は確かにある。数々の悪事の後なら、やはりあれが悪かったかとか、悔いることが多いだろうから。
因果応報の考え方だが、精神科医としていろいろな人生を見る限り、とうていそのようには見えない。少なくとも現世に関しては。
良いことをしたから良い人生になるとか、良いことをしたから報われるというなら、重い統合失調症や重い躁うつ病の人の人生が説明できない。
彼らは、もともと何か悪いことをしたとか、何か過失があってそうなったわけではないから。
そんな風に考えていくと、同じ医師でも僕と手塚治さんでは人生観が少し異なるのではないかと思うようになった。次の人生で良いことがあるというような来世の考え方をする人もいるかもしれない。火の鳥では、魚として生まれ変わるように書かれているものが実際にある。でもそういうことは証明できないし、だいたい誰だって前世がどんな人生だったか思い出せないから意味ないと思う。
僕は宗教とは程遠いところにいるのかもしれない。タイでは仏教の教えで、死んだら来世があると思うようで自殺が多いという。現世がダメなら来世にかける考え方なのだろう。
僕は、死後の世界は、あるかどうかさえわからないものだし、ひょっとしたら真っ暗な世界かもしれないと思っている。転生の話だって、次はあるとしてもアブラゼミかもしれないし。
僕のこの考え方は、きわめて現実主義的であって、同意できない人もいるかもしれない。こういう考え方は今の僕の治療スタイルに影響している。現実主義的だからこそ電撃療法もするし、うまくいかない場合、いろいろな治療法を際限なく試みていく。治療においてQOLを重視するのはきっとそういう考え方が背景にある。
そのやり方は、結果的に功を奏しているのである。
例えば、統合失調症の場合、合わない薬物療法を10年続けてもたぶん意味がない。それは単に時間と人生の無駄だ。
自殺が完全に否定されるのは、死んだら、そこは真っ暗な世界かもというのも30%くらいある。
参考
どのようないきさつで医学を志したか
ジェイゾロフト
外来の電撃療法(その2)