細菌実験の失敗で疫病が発生

 脆いリストのなかに、

 アメリカとロンバルディーを貫く大いなる災厄。

 船のなかの火へ疫病と監禁'

 射手座のなかの水星'土星は警告する。

            (第二巻六十五番)

ノストラダムス-l行目は関連のある指導者たちが無能だという意味だ。

彼らは家族の名声のおかげでその地位にいるのだ。

二行目はアメリカとフランスの共同計画について言っている。

「船」は海を走る船ではない。

普通の船よりも'飛行機よりももっと上空を飛ぶ宇宙船だ。

そこで災難が起きるだろう。

船のなかで科学者が無重力状態における生物の生態を実験している。

だが故障が発生し'宇宙船は大気中へ投げ返され'それと同時に船体が割れて炎上するだろう0

ところがこの生物学の実験に用いられていたガラス瓶などの容器に入っている有機体は、墜落にも生き延びられるほど強靭なのだ。それらは宇宙にさらされたために変容して'疫病を引き起こす力を宿してしまう。

その時期のホロスコープを描けば、そこを占星術の表記であらわしたものとはば一致する。

「射手座のなかにある水星」は目で見てすぐわかる。

望遠鏡で夜空を見ればよい。

「土星は警告する」とは、ホロスコープの専門家にそれを措かせればわかるが、水星が射手座のなかにあるとき'土星がアメリカとフランスの両方にとって悪い宿(ハウス) に位置するのだ。

これがその時期だ。

わたし-これはアメリカとフランスの共同研究なのですね。

これまでの解釈では、あなたの占星術上のヒソトを黄径差ゼロ度の合として'この詩に書かれた事件は二〇四四年に起こるにちがいないと考えられていますが?

ノストラダムス-いま説明したとおりだ。

この災害は両国にとっても、協調関係にある諸国にとっても悲劇だから、彼らは一致して事の真相究明に当たるだろう。

 わたしはこのとき初めてノストラダムスの四行詩の解釈には占星術師というか'ホロスコープを描く専門家が必要だと気づいた。

とはいえホロスコープを描く技能があって、さらに偏見がなく、超自然現象にも通じているような人物が、どこを探せば見つかるだろうか?

 ところが'またしても尋常ならぬ状況が作用しはじめる定めになっていたのだ。

その翌週、わたしがいつものように超自然現象研究グループの会合に出てみると、初めて見る青年が出席していた。

会員の一人が連れてきたというその青年は、なんと占星術を職業としており、ノストラダムスの四行詩に関心をもっているのだ。

わたしが進めている仕事のことを聞いて'彼はぜひとも協力したいと申し出てくれたのである。

これがたんなる偶然の一致だろうか- のちに彼から「あの晩あの会合に出かけたのには、ただごとでない理由があるとわかっていましたよ」と聞かされた。

ほかの事情で、以後彼は二度とその会合に出ていない。

どうもわれわれ二人が出会えたのは、あの晩あの場に彼がいるようにと何らかの意図がはたらいた結果のように思えるのだが。

 最初わたしは彼にできあがった訳詩を渡して、じっくり目を通してもらった。

だがその後、彼は実験に立ち会って自分で直接ノストラダムスに質問することを望んだ。

そういう場合、わたしは占星術的な意味がある四行詩だけに的を絞るようにしたのだが'これが見かけによらず、実際には占星術とはまったく無関係だと判明することも多かった。

この青年ジョソ・フィーリーは、名高い占星術師イザベル・ヒッキーのもとで学んだのち'1九六九年からホロスコープを描いている。

ジョソは'わたしとプレソダにはちんぷんかんぷんの占星術上の概念を理解するうえで'なくてはならない存在だ。

彼の調査成果が適用できる場合には、四行詩の解釈に取り入れていきたいo時期の特定や関連する時間的要素など'ジmソから教えられるところは多い。

 夜明けに大火事が見られる、

 北に向かって広がる騒音と光。

 地球のなかで死と叫びが聞こえ

 武器と火と飢健を-ぐり抜けた彼らを死が待ち受けている。

             (第二巻九十1番)

ノストラダムス-この詩には意味が二通りあり'時期も別だ.

1つはすでに過去のものとなったがもう一つはまだ起きていない。

初めのほうの出来事は'今世紀初頭にツソグースカで起きた災害

 これは驚いたo

 ノストラダムスは一九〇〇年代の初めにシべ-アで発生した原因不明の恐ろしい爆発のことを言っているのだ。

この爆発で半径約な五十キロメートルにわたって森林が薙ぎ倒され、当時その周辺は人口密度が希薄だったから被害にあって死んだのはほとんどが野生動物だったが、一帯は放射能を帯びた死の土地と化してしまったのである。

 多くの仮説が輸起されてきたが'もっとも一般的なのは限石落下説である。

だが、放射能はどう説明するのだろうか?

 現在'ロシアの科学者は宇宙船が墜落した可能性もあると言っている。

ノストラダムスなら実際の原田を突きとめられるだろうかP だが次の言葉にはもっとびっくりした。

ノストラダムス-もう一つも同じような出来事だ。

「ほかの人々」がわれわれと接触を図ろうとしたのだo

彼らは地球の大気圏に入ると、北極のまわりをめぐる軌道を描いて接触しょうとした。

しかしアメリカはある秘密兵器の研究を完成し'エネルギ-場をいくつか設置して自国北部の接近回廊を守備している。これらのエネルギー場に侵入すると、宇宙船が故障を起こして乗員が大量に死ぬという仕組みだ。

しかも宇宙船が墜落した場合には'待機中の兵士が彼らを捕えるか殺すかして抹殺してしまう。しかし宇宙船内は微生物のすみかになっている。

これらは地球の気候では奇怪な反応を示し'原因不明の疫病を発生させるだろう。

科学者は原因となる微生物が認識できないため'疫病を理解できない。

 ノストラダムスの口から「はかの人々」という言葉を聞くとは、じつに意外だった。

これまでわたしは催眠実験中に 「ほかの人々」とか 「見ている人々」とかについての話をたびたび聞いていたが、これは通常大気圏外空間から来た生物をさすのだ。

彼もその文脈で用いているのにちがいないと、わたしは即座に判断したO

わたし-たぷん殺すつもりではなくて、興味があるから研究したいのではないかしら。

ノス-ラダムス-おそらく彼らが墜落した国は戦争中だったか、あるいは戦争を始める用意をしていたかのどちらかだろう。

すでに戦時体制の心理になっているから、外部からきたものはすべて敵であり'潜在的に害をなす恐れがあるとみなすのだ。

好奇心があるというよりも、〟妄想症″ のほうが合っている。

彼らは〝敵″ の新手の兵器ではないかと疑い、巻き込まれた生物たちは殺されたのだ。

 明らかに彼は'直接そ-とは言わないが'この二つの事件はどちらも宇宙船の墜落に関連していると暗示しているのだ。

 ただ気になるのは、二篇の詩のなかで彼が微生物というか細菌について述べていることだった。

ノストラダムスの時代には、医者はバイ菌や細菌の存在については知らなかったはずだ。

だから、当時猛威をふるっていた病気の原因も事実理解できなかった0

当時の一般通念では、下等な生命形態はすべて自然発生的に生み出されると考えられていたから、それを証明するために医者たちは奇妙きてれつな理屈をこねあげた。いわく、ネズミ'ひきがえる。

みみずに羽虫といったちっぽけな生命形態には親はいないo

 これらは泥、ヘビ淀んだ水あるいは腐りかけた物質など'そこから姿を現わしそうなものに日光が当たると自然に生まれてくるのだと。

そういうわけで、わたしにはノストラダムスが見たはずのないそれらをどうやって知ったのかが不審だった。

あるいは仲介役のプレソダが皇示されたものを見て'微生物とか細菌とかいった言葉で表現したのだろうか?

ノストラダムス-たしかにわたしの時代には'こういった微生物の概念は一般的には受け入れられていない。

だがわたしは'ギリシャの哲学書を読んで最初の暗示を得たのだ。

ギリシャ人は「アトム」という名のきわめて微小な原子が存在すると考えていた。

それを一歩進めて、わたしはこう考えた。

これらの小さな動物やアトムと呼ばれるものが植物のように行動する可能性もあるのではないか?

 植物には毒をもつものもある。

とすれば、小さな動物も毒をもつ可能性があるのではないか、と。

こうして理論づけしていくうちにも未来の場面にこのようなものが出てくれは、必ず理解できるようになったのだ。

この霊媒には微小な生き物の概念が理解でき'それをあらわす呼び名も知っているから、あなたに通じるような言葉で表現させたのだ。

 もう一つわたしは、「ほかの人々」 に関してノスーラダムスがどんなことを知っているのかを聞いてみたかった。

ノストラダムス-たいして知っているわけではない。

知っているのは幻視のなかで見たこととも論理的に推測できたことだけだ。

彼らは異教的な信念をいくつかもっている。

もしわたしがその半分でもロに出したら傑刑のうえ焼き殺されてしまうだろうがね。

まず第一に、地球は平らではなく丸いと考えている。

わたし-おっしゃるとおりです。

ノストラダムス-次に'誰にでもわかることだが'地球は宇宙の中心ではないのだ。

さらに'太陽とて宇宙の中心であるかどうか、疑わしいものだ。

たまたま宇宙のこの部分では中心であるというにすぎない。

神が無限の神であり'その力が無限であるならば'われわれこそ神の造りたもうた唯一の創造物だなどと、誰に言えよう?

 神が無限の神ならば'神の創造物も無限にあるはずだ。

「ほかの人々」 の説明はわたしにすれば一つしかない。

つまり、彼らもまた神の創造物なのだ。

宇宙のほかの場所からきた人類へ動物、あるいは生物なのだ。

司祭連中はこういったことを異教的だとみなすだろうが、わたしからみれば、彼らこそ神を限定しょうとする異教徒だ。

なぜなら聖書には'神は無限だときわめて明確に書いてあるのだからね。

 プレソダが覚醒したあと、わたしは「ほかの人々」という言葉を知っているかと彼女にたずねた。

いろいろな意味があるけれど とくにこれといって頭のなかで結びつくものはないt という。

わたしがその意味を教えると、そういう文脈では考えなかったと思う'との答えだった。

 四行詩を何らかの論理的順序で並べようとするのは'いわば数千ピースからできているジグソーパズルを組み立てるようなものだ。

不可能ではないが'並の苦労では完成しない。

まして、どこにも当てはまらないピースがあればなおさらだO

 わたしは結局、与えられた日付と主題を信頼することにした。

さんざん並べ替えしたあげくに落ち着いた結果を、次の章以降でご覧いただきたい。

 素晴らしいというかほとんど信じがたいことに'各章をつなげてみると'それぞれが意味をなしてひと続きの話ができあがるのである。

矛盾も見られないところは'まるで限りなくごちゃまぜにする前にノストラダムスがある種の順序にそろえておいたかのようだった。

わたしたちが翻訳したときの行き当たりばったりのやり方から思えば、このような連続性が出現する確率は天文学的数字であるのは間違いない。