予言詩の謎を解き明かす
わたし・・・カウントをとる?
それもまっすぐ向こうへ行って'鏡を通してノストラダムスを探してみる?
プレンダ・・・しばらく静かに坐って隈想していれば大丈夫。
用意が整ったら合図するわ。
今、彼の住まいに焦点を合わせている。
彼のいるのは・- 実験室というかも実験室と書斎がいっしょになった部屋よ。
そこで彼は鏡に注意を集中している。
「ミシェル・ド・ノートルダム、また来ました。お会いする時間です」
(間)0
ノストラダムス-会合地点で会おう
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プレンダ-オーケー'着いたわ。
彼はもうここにいるわ。
ノストラダムス-四行詩を読みなさい。ただし、1行ごとに少し間をおいて'霊媒に文章を充分に吸収する余裕を与え'わたしがその概念をちゃんと受け取れるようにしてほしい。
わたし-いよいよわたしたちの言葉使いに翻訳してもらえるのですね。
でも、どういうふうに表現するのかを教えてください。
ノストラダムス・・・この場所では本質的に言葉というものは用いないのだ。
霊媒との考えのやりとりは'ほとんどの場合心象風景を介しておこなうからね。
とにかく、積み重ねがものを言うのだ。
こつこつと続けていけば'きっとこの仕事は完成できる。
わたし-もっと早道があったらいいんですけど。
ノストラダムス-無理のないペースで進めるのが一番いいのだ。
わたし-どれから始めましょう?
この本の最初から訳していくのか~それとも好きな順にやりますか?
ノストラダムス-一番最初は'これぞ一番最初にくる詩だと感じられるものを選びなさい。心と体を崇めて'おのれの心の中心に宿る知恵に導かれるままに選べばいいのだ。
だが、最初は試行錯誤の連続だった。
ノストラダムスのやり方が飲み込めたのは'さんざんまごついたあとのことだ。
彼とプレソダが心象のやりとりをしているときは'それとわかるようにもなった。
そういうときや'彼が考えに耽っているとのどきには'質問が喉まで出かかっていてもけっして話しかけてはいけないこともわかった。
こうして二、三回すぎるうちにかなり細かい解釈作業ができるようになった。
当初は一回の実験で四農がせいぜいだったのが、やり方が定まって
くるにつれて七、八篇、多いときには十第も解釈できることもあった。
わたしが一番最初に選んだのは、難解中の難解と目されている四行詩だった。
なぜか、これまでどんな専門家の挑戦をもはねのけてきた詩に心をひかれたのだ。
このような大事業に乗り出したからには、いっそのこと一番むずかしい詩から始めたほうがやり甲斐があるというものだ。
それと同時に'わたしたちの未来に関する予言だと考えられている詩も選考に入れることにしたo
さすがに首席を解釈したころには手際がよくなりその後は本の最初から系統立てて解釈を進めていった。
このころにはすでに一時間の実験中に三十農もこなすほどの練達ぶりだったのである。
わたしは'自分が接触している相手はノストラダムスその人であるということを'一五〇〇年代のフラソスに生きている生身のノストラダムス自身であることを、一度として疑ったことはない。
なぜならも彼には肉体的限界があるからだ。
わたしとの接触で7時間も費やすと明らかに疲労の様子を見せ、すぐに自分の肉体に戻らねばならないのだ。
何の断りもなしに突然帰ってしまうこともある。
これはおそらく興にのりすぎて制限時間を超えてしまったか'ノストラダムスの側の現実世界で彼を体に引き戻さねばならないような事態が生じた場合ではないかと思うが。
また'ノス-ラダムスの疲労の原因が'霊媒であるプレソダの疲労にあるのでないことも確かである。
彼が実験室にある自分の肉体に戻ってしまったあとでも、わたしとプレソダはしばしば別の件について実験を続行しているのだから。
エレーナの場合には'ノストラダムスの意図を伝達するうえで障害があった。
彼女は、十六世紀の人間であるディオニソスの観点でノストラダムスの予言を見ていたからだ。
ノストラダムスから示される内容はおそろしく不可解だったから、デ
ィオニソスの限られた経験のなかではそれらを忠実に表現する言葉が見つからないのだ。
結局、意図を伝えようとして、ぎごちない象徴的表現に終わらざるをえなかった。
プレソダにはさほど障害はない。
自分の生に縛られているディオニソスとは異なり彼女は生と生のつなぎ目の状態にいるためはるかに広い視野で物が言えるのだ。
したがって、皇示された構想や象徴的表現を認識する力も'理解力もずっとすぐれているだろうし、ノストラダムスの時代にはその呼び名も存在しなかった事物に現代用語を4充てて言いあらわすことも可能だろう。
プレソダという仲介役を得た今'わたしはついにノストラダムスの予言の謎を解き明かし、この傑出した偉人の深遠かつ驚異的能力を裏に理解する糸口をつかんだと言えるだろうO
最初の二篇は誰にとってもごく解釈しやすいのだが'ノストラダムス自身がそれらを巻頭に置い
たのと同じ理由で、わたしも出だしに並べることにしよう。
夜、密やかな書斎にひとり座す。
それは其鏡の鼎に載っているO
虚空からかすかな炎が現われ、
無駄に信じられるべきではないことを成功させる。
(第一巻l番)
ノストラダムス-これはたんにわたしの実験室での行為を述べたものだ。
これから書-ことをどこで手に入れたかを説明するために'一番最初に置いたのだ0
手中の杖は鼎の三脚の中央に置かれている。
彼はおのれの衣服の縁と脚に水を振りかける。
声'怖れ 彼は裾の長い外套のなかで震えるO
神の威光 神は傍らに坐りたまう。
(第一巻二番)
ノストラダムス-これも同じだ0
7番目の詩は道具について説明しているが、この詩では別の世界に自分自身を開いていく手順をどのように始めるかについて述べている。
わたし-これまでの解釈では、あなたは自分が呼び起こしておきながら、いざその力が到来すると恐怖を抱-t と解釈されています。
「声へ怖れ彼は裾の長い外套のなかで震える」とは'自分が見ているものを恐れているのだ、と。
ノストラダムス-「怖れ」とは恐怖でな-'敬意を意味しているのだ。
わたしは眼前に展開することのすべてを理解できるわけではないから、見るものに対して不思議な畏怖を覚えるのだ。
兵器の秘密工場で謎の大爆発
世界は終末に近づく、
土星は再び遅れて戻る。
帝国はブロードの民に向かって変動する。
オオタカに決り取られるナルポソヌの目。
(第三巻九十二番)
ノストラダムス-これは戦争が生じる一時期について述べた詩だ。
戦争が終わろうという最終段階になって土星が再び遅れるとき、事件が起きる。
この詩には二重の意味が含まれている。
lつは'土星が逆行運動するという占星術上の出来事が起き、関連する時期を狭める助けをするという意味。
もう一つは、戦争における科学技術についてだ。
あらゆる戦争と同様に、この戦争でも兵器の研究など'科学技術がひじょうに進歩する。
科学者たちは'戦争を自分たちの有利になるように、原子物理学を応用した新兵器の開発を進めているのだ。
しかし'彼らはもうそれに一度失敗しており、この二回目の失敗の結果、研究団地全体が大惨事とともに崩壊する。
それが「オオタカに決り取られるナルボンヌの目」だ。
抑制の方法を知らずに力を扱おうとするために、引きちぎられてしまうのだ。
外部の人間たちは破壊のすさまじさから'ミサイルか何かに攻撃されたのではないかと考えるが、実際は、彼らが扱おうとしたエネルギーの渦が操作できるに充分なほど倣調整されていなかったためも制御不能におちいった結果なのだ。
ブロードは国を、ナルポソヌは場所を指す。
イギリスとヨーロッパ北部が関係している。
ナルポソヌはこの事故発生現場に近い町の名前だ。
わたし-いつ起きるのですか?
ノストラダムス-まだ起きてはいないが'その基礎はもう敷かれている。
秘密計画に参加している科学者はすでにそれに向かって仕事を開始しているのだ。
あなたが生きているあいだに何かが生じるかもしれないが'政府が隠蔽するために'わからないだろう。
わたし-これまでの解釈ではブロードという言葉は黒とか焦げ茶を意味する昔のフランス語であり、したがってこの詩に述べられているのはアフリカもあるいは黒人のことだと考えられているのですが
ノストラダムス-それはちがう。たしかに黒っぼい色をあらわす言葉に似ているからわざと用いたのだが、じつはブロードとは地名のアナグラムだ。
異端審問や詮索好きの連中にこの場所を簡単に発見されては困るから、あまり明確に特定したくなかったのだ。
わたし-この事故は世界じゅうに影響を及ぼすのですか?
ノストラダムス-大惨事について言えば'影響は特定の地方だけに限定され'ある期間にわたって奇妙な副作用がその地滅一帯に生じるだろう。
この副作用はひど-異様なので、どんな備えをすればよいかわたしにはわからないO だが'政府がこの方向の研究を蘇りに戦争を優位に導こうと目論んでいたために'結果として広範囲に影響が波及していくだろう。
しかも'多少優位が失われるので'最終的には戦争という結果に終わるだろう。
わたし-どんな戦争になるのですか?
ノストラダムス-第三次世界大戦だ
わたし-まさか、また戦争が起きるなんて知りませんでした。
起きないようにと'みんな願っているのです。
ノストラダムス-今後戦争は数回起きるだろう。
それをいくらかでも回避する助けになりたいのだよ。
わたし-どんな国が巻きこまれるのですか?
ノストラダムス-北半球全体と、南半球にある大きな島'たぶんオーストラリアだろう。
この戦争のことを聞いたのはこれが初めてだったが'わたしはその後数カ月にわたって'聞いて平静ではいられなくなるほどの内容を知ることになるのだ。
それについては、恐るべき反キリストについての章で報告する。
メイバスはほどなく死に
やがて人間と動物に恐ろしい破壊がやってくるだろう。
突然復讐が暴露され、
聾星が通過するとき'百の手と渇きと飢え。
(第二巻六十二番)
ノスト&ムス-大き瑚当星がくるのと同時に世界的指導者、おそら-は宗教上の指導者が死ぬだろう。
この人物が死ぬ国では聾星が肉眼ではっきりと見える。
その国は中東にある。
この二つの出来事が重なる結果反乱が起きる。
だが'これほど簡単に反乱が起きるのは'やはり同じ年に農作物の大不作が生じるからでもある。
多-の人々が飢えるだろう。
わたし・・・それがみな撃星の見られる年に起きるのですか?
ノストラダムス-華星が見られる年に始まるが'五百日間続くだろう。
「百の手」はこの五百日を意味すると同時に百人がこの反乱に力を貸すことも意味している。
彼らが寄与した結果、世界の注目を引くに充分なほど公然と'広範囲に反乱が勃発するのだ。
百の手、つまり片手の指が五本だから、それを百倍して五百を意味するとはおもしろい考え方だ。
しかも今日でも〝人手を借りる″というふうに'〝手〟という言葉を人を意味する場合にも使う。
なるほどノストラダムスはなかなか巧妙に機知をほたらかせているものだ。
わたしは当初も この詩がフィリピソのマルコス大統債の失墜を意味しているのではないかと考えていたO
メイバスとマルコスが似ているし、時期も合うからだ。
しかしマルコスは死なずに(その後病死した)'権力の座から追放されただけだ。
一九八六年にハレー聾星が通過したが期待どおりの劇的な姿を見せないうえに'この年には詩に符合するような事件が何も起こらなかったので'どうやらこれは間違いなのではないかと思われた。
あるいは発見されない聾星のことをうたっていたのかもしれない。
ハレー撃星以外の可能性もたさんあるのだから。