日本に投下された二発の原爆
ポー,ヴェローナ、ヴィセソザ、サラゴサ~
遥かな国々から血を滴らせるつるぎ。
大疫病は大いなる殻とともにやってくる。
慰めは近いが、癒しは遥か彼方に。
(第三巻七十五番)
ノストラダムス-この詩は第二次世界大戦について述べている。
l行目の地名は、第一次大戦で主要な役割を演じた土地だ。
ヨーロッパにおいて政治運動が紛糾した結果'両大戦は勃発した。
第1次大戦が起こらなかったら'第二次大戦も起きなかっただろう。
「大いなる殻から放たれる大疫病」とは'日本に投下された原子爆弾のことだ。
日本は犠牲者にわずかな治療上の慰めを与えたが、医薬は遥か彼方のアメリカの手で持ち込まれなければならなかった。
わたし-これは今まで未来の出来事と解釈されていたのですよ。
ガスか何かを使う化学戦のことではないかと。
ノストラダムス-たしかに第一次大戦ではガス兵器が使われたからその面から解釈したのだね。
わたしはその点についても暗示していたのだ。
この詩では両大戦について言っているが、第二次大戦のほうがずっと悲惨だった。
なるほどこの四行詩は二通りの意味をもつ予言の完壁な見本だった0
疫病としての化学戦をあらわすと同時に放射能の災難をあらわすことによっても 歴史は自らくり返すということを明示しているのだ。
この詩では地名に深い意味があったが'ノストラダムスが都市の名前を用いる場合には国を指し示していることがままある。
それらの詩では、実際にはノストラダムスが一国の象徴として都市名を用いているにもかかわらず注釈者がある事件がある都市で起きると解釈しがちなため'結果として誤訳が生じてしまうのだ。
次もやはり原子爆弾について述べたものだ。
おどろおどろしい球体のなかにも
解き放たれた生きている火と、
隠れた死がある
敵の手助けをする火に包まれた都市、
都市は艦隊によって夜までに瓦磯と化すだろう.
(第五巻八番)
ノストラダムス-「おどろおどろしい球体のなかに生きている火」とは、日本に投下された原子爆弾の放射能のことだ。
それは火のように燃えたが'人々は通常の火事の場合のように即死せず、息絶えるまで苦悶のうちに生きねばならなかっただろう。
「艦隊」とは'東京上空を飛んで市街を瓦硬の山にしてしまったアメリカ軍の飛行機だ。
また、「球体」 には焼夷弾の意味もある。
アメリカ軍は標的発見のために照明がほしかったので、接触即発火する爆発性の液体を詰めた球体を投下し、爆弾投下の狙いを定める助けにしたのだ。
わたし-それなら意味が通じます。東京では第二次大戦中に灯火管制をしていましたから。
ヒーラーに関する四行詩は多数あった。
これらは正しく解釈されているものが多い。
とりわけヒトラーをあらわすときにノストラダムスが 「ヒスター」 といくアナグラムを用いている場合はなおさらだ。
次には、それとわかりにくいものをあげよう。
焼かれ'脳卒中を起こしているが'
絶命してはいないまま、
彼は両手を馨られて発見されるだろう。
彼らの法を変えたとおぼしき異教徒を' 都市が非難するとき。
(第三巻三十六番)
ノストラダムス-これはヒトラーの自殺と死、そしてその死骸が地下豪で発見されることを述べたものだ。
彼の手が留られた様子であるというのは'かつて手中にしていた絶大な権力が今や遠く手の届かないものになり果て、その身をぽろぽろに浸食しっつあることを象徴した表現だ。
同時に、彼の味方たちもいわばドイツの国境地帯を噛み取りつつあったのだo
わたし-ふつう脳卒中と言えば'人が昏睡とかそれに似た状態にあることを意味しますね?
ノストラダムス-脳卒中という言葉で言いたいのは'憤怒のあまり意識を失ったとか あるいは高血圧のせいで脳に突発的障害を生じて昏倒したとかいう状態のことだ。
たいていは逆上する結果だと思うが。
この男は自分の感情というか情動を抑制できなかったから'我を忘れることがよくあっただろう。
気が転倒するようなテーマについて自分から話しだしておいて、情動が高ぶると我を忘れ、神経衰弱の瀬戸際までいってしまうのだ。
わたし-なるほど。たしかにヒトラーはひどく情緒不安定な人間だったと言われています。 - 後半の 「彼らの法を変えたとおばしき異教徒を、都市が非難するとき」 はどういう意味ですか?これもやはりヒトラーに関することなのでしょうtか?
ノストラダムス・・・むろんそうだ ごく明瞭だから説明の必要はあるまいと思ったのだが。
その都市はつねに 「ヒトラー万歳」ととなえ、その人となりを模倣し'その完全無欠ぶりを讃えっづけてきた。
だがヒトラーの死後は、彼によって民主主義から独裁主義へと物事のやり方を一変させられていたため、手のひらを返したように糾弾しはじめたのだO
わたし-これまで何度となく憶測がなされてきたのですが'ヒトラーはほんとうはあの地下壕で死んではいないのではないかと。
ひょっとするとヒトラーはまんまと逃げおおせ、死んだのは身代わりの人間だったのではないかと。
ノストラダムス-ヒトラーは間違いなくあそこで死んだ。
生き延びて南アメリカなどに逃亡したナチの首謀者たちが、ナチの残党を支配下に置きつづける一助にしようと、そんなデマを流布させつづけているのだ。そして同時にいまだに残っている信奉者たちに希望を与えるためでもある。いつの日か再びナチは権力と栄光の座に返り咲くのだ、と。
統治は二者に委ねられたが、その掌振期間はごく短い。
三年と七カ月が過ぎて彼らは戦争に行-だろう。
二人の丞女(ヴエスクル)が彼らに反乱するO
やがてアメリカの国土に勝利者が誕生する。
(第四巻九十五番)
わたし・・・これまでの注釈者は 「巫女」という言葉がわからなくて、何か別の言葉をもじったものではないかと考えています。
ノストラダムス-この四行詩にもたくさんの意味が含まれているが、すべて第二次世界大戦に関する一連の出来事を扱ったものだO
「統治は二者に委ねられた」とは'世界征服を目論んでいたドイッ帝国の指導者と大日本帝国の指導者という二大独裁者のことだ。
この二人はいっしょに世界を乗っ取るつもりでいたのだo
ヒトラーはロシアとヨーロッパを占拠し'ゆくゆ-はなんとかアメリカも支配下に入れようと企て、一方日本はモンゴル、シベリアへ中国、イソド'オースーラリア およびその周辺諸国を傘下に治めようという算段だった。
両国は、西半球の諸国が二カ所の戦線で闘わねばならないようにするために、太平洋側からアメリカを攻略する作戦に出た。
しかし、そのころアメリカではすでに 「勝利者」が着々と開発されつつあった。
勝利者とはこの戦争の勝利者を決定する要素、つまり原子爆弾のことだ。
原子爆弾は広島と長崎に二発投下された。
さらにこの詩のなかには戦闘の時期が記してある。
それはアメリカが第二次大戦に参戦したときを基準にして、その後「三年と七カ月が過ぎ」たのちに'勝利者を携えたアメリカが原子爆弾の投下によって戦争を終蔦に導く、ということだ。
わたし-「三年と七カ月が過ぎて彼らは戦争に行くだろう」 のくだりは、誰かがそれから戦争を始めるという意味だと解釈されているのですが。
ノストラダムス-それは間違いだ。
「三年と七カ月が過ぎ」たときとは'「勝利者」が戦争に行くときなのだ。
それが〝原子爆弾″の参戦する時期であり、以後暴力の概念は永久に変容してしまう。
つまり、これは原子爆弾投下を決定した時期を言っているのだ。
この原子爆弾は、〝味方の代表として一騎打ちに出場する最優秀騎士″という隠喩であらわされているのだ。
そして初陣以来'この騎士は兵法や戦争のやり方に決定的な影響を与えた。
なぜなら、第二次大戦の終結以後も、冷戦や'いまだに続く局地的な緊迫事態を通して原子爆弾の脅威が依然として感じられるからだ。
そして世界は原子爆弾という脅威が存在する以上'以前のような平和状態とはちがってしまったのだ。
わたし-「彼らに反乱する二人の垂女」は'二発の原子爆弾のことですか?
ノストラダムス-そうだ。
二発の原子爆弾が彼ら=日本に投下され'無条件降伏させるのだ。
これでノストラダムスが科学者をあらわすのに「巫女」という言葉を用いたわけがわかる。
ローマ神話によれば'ヴエスタは炉と炉の火の女神だった。
この例を見ても'ノストラダムスが謎のなかに言葉や神話を用いて自分の達成したいと思うイメージを作り出すのがいかに巧妙であるかがよくわかる。
原子爆弾は、まさに一瞬にして広島や長崎を炎の海に包みこみ、溶鉱炉の鉄のように溶かしてしまった。
アメリカとロシアが手を結ぶ日
いつの日にか二人の大いなる指導者は友人になり
彼らの大いなる権力が増大するのが見られるだろう。
新しき国はその権力の頂点にあり、
血ぬられた男に数字が報告される。
(第二巻八十九番)
ノストラダムス-これはアメリカのニクソソ大統領が中華人民共和国と外交関係を設立することを述べている。
ここでいう二大指導者とはこの二カ国のことだ。
さらに'当時「新しき国」 つまりアメリカの軍事力は頂点に達していた。経済的にも財政的にも、米ドルは国際市場で依然としてきわめて強かったのだ。
「血ぬられた男に報告される数字」とは、ニクソン大統領に報告されるヴェトナム戦争の死傷者数だ。
とりわけ'彼がヴェトナム戦争への自国の介入を打ち切ったあとで報告された最終的な数字のことを言っている。
わたし-では'ニクソソが血ぬられた男と呼ばれるのは'もっとも責任があると考えられたためですか?
ノストラダムス-ヴェトナム戦争でもっとも責任があるのはニクソンではなく、前任者のジョソソソ大統領だ。
にもかかわらずそう呼ばれるのは、この戦争からの撤退に一応表面的には成功したとはいえニクソンがこの多年にわたる血みどろの戦いの最高司令官だったからだ。
わたし-″一応表面的には成功した〟 0すると'まだ実際には終わっていないのですね。
ノストラダムス-終わっていないどころか、アメリカの秘密支配機関がいまだに関わっているのだ。
この戦争から手を引いたなどということはまったくない。
わたし-いわば、表面に出ない戦争という形で続いていると。でも、そんなことがありうるのでしょうか?
ノストラダムス-あるのだ。
あるからこそいまだにヴェトナムでときどき捕虜になっているアメリカ兵が発見されるのだ。
たとえアメリカが介入をやめたとされ、国民も秘密機関の介在に気づかないとしても'現地の人々はその存在も'それがアメリカの機関であることも知っている。
だから彼らは'アメ-カが介入を続ける以上アメリカの捕虜を釈放しないでお-ことも理の当然だと考えているのだ。
わたし-なぜこんな秘密機関がいつまでも関わっているのでしょうか?
ノストラダムス-その理由は〝民主主義〟と称される一団と〝共産主義〟と称される一団とのあいだの仮想の勢力争いに関係がある。
ソ連が崩壊したとはいえ、これらの機関の指導者たちは'もし自分たちが完全に撤退してしまえば'世界のなかのその地域における勢力の均衡に脅威が生じると思っている。
彼らはそんな事態が起こっては困るのだ。
わたし-これまでの解釈では'この詩はアメリカ
とロシアを言っていると解釈されています。
いつか将来 この両国が友人になるかもしれないと。
それで、血ぬられた男とは反キリストのことではないのかと考えられているのですが。
ノストラダムス-たしかに将来アメリカとロシアが友人になるのほほんとうだ。
しかしそれは反キリストのあとにくる人物の努力にかかっている。
二者の同盟は長きにわたらず'
彼らは十三年以内に野蛮な勢力に屈する。
両者は非常な損失を被るため、
片方は船(バルク) とその指導者を祝福する。
(第五巻七十八番)
ノストラダムス-これはすでに起きた出来事だ。この詩は第二次大戦後のアメリカとロシア (旧ソ連).について述べている。
両国は第二次大戦中と終戦直後のドイツ占債期間中は同盟していたが、終戦後五年たつころにはこの二勢力が枚を分かち'敵対関係になった0
「十三年」とは'両国が決別したおよそ1九五〇年ごろを起点して'あわや公然たる戦闘行為に突入かという危幾一髪の事態に発展したキューバのミサイル危機までの十三年を指す。
この十三年間が冷戦の深刻さが頂点に達していた時期であり'両国にとってきわめて不安定な時代だった。
一方の当事国であるロシアは戦争の被害を再建し'同時に近代化も推し進めようとしていたが'その結果多大な社会的緊張が生じていた。
スターリソが粛清をおこない'国民はソ連政府の仮想の敵を抹殺しょうとする秘密警察によって理不尽に殺されつづけた。
同時にやはりアメリカでも'マッカーシーなど反共主義者の扇動によって、共産主義に対する妄想を原因とする深刻な社会不安が生じていた。
アメリカとロシアは互いに被害妄想を募らせつつあったのだo
当時の人々はl歩間違えば新たな戦争が勃発しかねないとの認識はあったものの、この段階ではまだその一歩がどんなにわずかであるかを把握している者は皆無だった。
ここが時間の枝の重要な分岐点だったのだ。
この分岐点での選択いかんによっては、難問の解決を経て平和に、という少なくとも今日のような対話関係に到達することもできるし、さもなければ決裂して戦争状態に突入し、互いに武器や爆弾を発射したあげくにヨーロッパの大部分を壊滅させる道を選ぶことも可能だった。
ここは時の流れにおける大きな分岐点であるためひじょうに目立ち、わたしにもごく簡単に見つけられたO これを見ても、人類は自分たちの未来の帰結を変えられることがはっきりと証明されるだろう。
とりわけ、その帰結がどんなものになるかがわかっている場合には。
わたし-フラソス語版では、バルクは大文字で始まっています.
「彼らはバルクを祝福するだろう」と。
ノストラダムス-ある国からアメリカにもたらされる男は、この両国間を平和にしようとするカトリック教会の教皇の努力を賞賛する。
自ら無神論的国家であると主張したソ連は、カトリック教会の行為いっさいを資本主義的策略だとして疑いの日で見ていた。
ところが共産党書記長にカトリック教に寛容なゴルバチョフが就任し、教皇を'客観的見方が可能であって自分たちの問題を解決してくれる第三者とみなした。
ここで言う教皇とは、政治に相当の関心を抱き、なんとか世界に平和をもたらそうと腐心している現在の教皇のことだ。
この教皇はあちこち旅をするのでバルク (船) にたとえたのだ。
この教皇はヴァチカンに閉じこもったままではいまいo
わたし-ああ、なるほど。たしかに彼はどこへでも旅をしますねo
この詩はアメリカとロシアがもっとも反目していた時代のことどころか、この両国の同盟をうたったものだと解釈できるんですね。
ノストラダムス‥・次の四行詩に移ろう。
この詩の解釈はまるで見当はずれだ。
金星が太陽におおわれるとき、
光輝のもとに隠れた形があらわれる。
水星はそれらを火にさらし、
戦争の噂によって立ち向かう。
(第四巻二十八番)
ノストラダムス-この詩にかぎっては、占星術的な表現が必ずしも全部そういう意味合いではない。
この四行詩にはいくつもの意味が含まれている。
そのlつはすでに過去となった事件を述べているが、実際に起きているにもかかわらず当時は噂にすぎないのではないかと考えられた。
それはロシアの宇宙計画に関するものだ.
ロシアとアメリカが宇宙飛行、と-に有人宇宙飛行で業轟をあげようと互いにしのぎを削っていた七〇年代のことだが'ロシアは野心的な計画に乗り出した。
彼らは有人宇宙船を月に飛ばすことに成功しなかったので、自尊心の傷を癒すためにも'月のことは気にせずにもっと実りのあることをするほうがよかろうと判断したのだ。
つまり'金星に有人宇宙船を打ち上げようというのだった。
実際の飛行の最中へ一時通信が途絶えも宇宙船は行方不明になったか全沸したかと推定された。
土壇場でようや-通信が回復したときには、宇宙船が金星の大気中で炎上する直前だった。
その当時アメリカはこれは実際の事故ではないかとも推測したがロシア人によるプロパガンダという策略ではないかと考えていたのだ0
これは両国の外交関係がきわめてむずかしかった時期に生じた出来事だった。
一九七一年一月ならびに一九七二年七月、ロシアは無人宇宙船による初の金星軟着陸をなしとげた(ヴエネラ七号と八号)0
当時の不可解なラジオ放送のせいで'宇宙飛行士が乗っていたのではないかとの憶測もあった。
しかしーそれを裏づける証拠は何一つ提出されず、これらの憶測はたんなる噂として今日に至っている。
ノストラダムスはその宇宙飛行任務において実際に起きたことを見たのだろうか。