ひとり、服装がだらしなく、
どうしても好きになれない生徒がいました。
だから、中間記録には
少年の悪いところばかり記入するように。
ある時、この少年の1年生の記録が目に留まります。
「朗らかで、友だち好きで、人にも親切。
勉強もよくでき、将来が楽しみ」
(ウソ! これは何かの間違いよ)
先生はそう思いました。
ところが、記録を追っていくと・・・
「2年生:母親が病気で世話をしなければならず、
時々遅刻する」
「3年生:母親の病気が悪くなり、
疲れていて、教室で居眠りする」
「3年生の後半:母親が死亡。希望を失い、悲しんでいる」
「4年生:父は生きる意欲を失い、
アルコール依存症となり、子どもに暴力をふるう」
先生の胸に激しい痛みが走りました。
(私はいったい、この子の何を知っていたのだろう?
こんな小さな子が一人で
深い悲しみを生き抜いているというのに。
何も知らず、ダメと決め付けた私の方がダメなのだ・・・)
先生にとって目を開かれた瞬間。
彼女は1つの決意をもって少年に声をかけました。
つづく
出典:『心に響く小さな5つの物語』(藤尾秀昭、致知出版、pp.60-64)
