母なるもの(1) | 読書セラピー(幸せのページ)

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木に吹いた風が緑色になるように
花に吹いた風が芳香を運ぶように
風に言葉を託して届けます。

5年生の担任になったとき、
ひとり、服装がだらしなく、
どうしても好きになれない生徒がいました。

だから、中間記録には
少年の悪いところばかり記入するように。

ある時、この少年の1年生の記録が目に留まります。

「朗らかで、友だち好きで、人にも親切。
勉強もよくでき、将来が楽しみ」

(ウソ! これは何かの間違いよ)

先生はそう思いました。

ところが、記録を追っていくと・・・

「2年生:母親が病気で世話をしなければならず、
     時々遅刻する」

「3年生:母親の病気が悪くなり、
     疲れていて、教室で居眠りする」

「3年生の後半:母親が死亡。希望を失い、悲しんでいる」

「4年生:父は生きる意欲を失い、
     アルコール依存症となり、子どもに暴力をふるう」

先生の胸に激しい痛みが走りました。

(私はいったい、この子の何を知っていたのだろう?
 こんな小さな子が一人で
 深い悲しみを生き抜いているというのに。
 何も知らず、ダメと決め付けた私の方がダメなのだ・・・)

先生にとって目を開かれた瞬間。

彼女は1つの決意をもって少年に声をかけました。

つづく

出典:『心に響く小さな5つの物語』(藤尾秀昭、致知出版、pp.60-64)


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