ふだん何気なく呼んでいる名前。
今回はその名前にまつわる、愛のお話です。
・・・・・
高校1年生の担任になった五井先生は、
入学式が終わった後、
教室で名簿順に名字を読み上げます。
そのとき、一人ひとりの良いところを見つけ、
温かなメッセージを添えていきました。
しかし、山田太郎という生徒の順番が来たときは、
いきなり、「太郎!」と呼び捨てに。
教室にざわめきが起こります。
もちろん、一番驚いたのは彼自身です。
(何だ!?
みんなは名字で呼ばれていたのに、
なんでオレだけ呼び捨てなんだ?)
そんな空気を気にかけることもなく、
五井先生はさらに声を張り上げます。
「名前を呼ばれたら返事をして!
いないのかっ、太郎!」
皆の視線がいっせいに集まる中、
彼は手を挙げ、返事をしました。
「そうか、君が太郎か・・・。
太郎っ、ガンバレよ!」
結局、五井先生は4回も「太郎」と呼び捨てに。
(なんだよ、びっくりさせるなよ。ムカツクなあ。
内申書に「非行の傾向」ありとでも、書いてあったのかなぁ・・・)
彼は、理由も分からず、
何となく軽蔑されたような感じがして、
面白くないまま、入学式の日を終えました。
それにしても、なぜ太郎だけ呼び捨てなのでしょう?
つづく
出典:『本気で生きよう! なにかが変わる』(丸山浩路、大和書房、pp.12-14)
