東京・新宿 「靴は売らない靴屋」西村泰紀(タイキ)です。
普段はペタンコのスニーカーか、カジュアルな靴ばかり履いています。
フォーマルな時に履く、ヒールの低い黒のパンプスが欲しいんです。
デパートで買おう、と見に行ったんですけど、“なかなか合う靴がなくて大変でしょう”、って変な同情されて、結局買いませんでした。
そんなご経験をされたお客様が、足と靴の健康チェックコースにご来店。
ご本人は外反母趾と思われていたようです。
親指の付け根に大きな腫れ、というか出っ張りが確かにあります。
ところが、親指が小指側に、ほとんど曲がっていません。
しかし、親指の付け根が、外反母趾のように、ふくらんでいます。
私の場合、ここがふくらみ、指も曲がっています。
このふくらみをバニオンといいます。
親指の付け根のふくらみ部分には、潤滑剤みたいな液で満たされた、袋状の膜(滑液膜)があります。
ここが靴などにあたり刺激されて炎症を起こすと、バニオン(腱膜瘤 ともいいます)というハレた状態になります。
はじめは柔らかく、指で押すとグニュと動いたりするのですが、その炎症が親指の付け根の骨の骨膜に広がり、骨のように硬くなって、いわゆる骨化してしまうこともあります。
ここが出っぱっているために、幅広の靴を履かないと、あたって痛くなるのです。
ところが、お客さまのように、足そのものが細く、甲が低い方が、この出っ張りを基準に靴を選ぶと、ほとんどの場合、この部分から後ろは、がばがばに余ってしまいます。
指の付け根で合わすと、カカトががばがば。
カカトで合わすと、指の付け根が痛くて履けない。
だから、“大変ですね”ということになるのです。
お客さまのように、今は指が曲がっていないので、外反母趾とは判断されなくても、親指の付け根の腫れが大きくなると、それにつれて、ア-チが広がり、外反母趾へ移行する可能性があるようです。
何もしないことは、おススメできません。
理屈はあるのですが、長くなるので割愛します。
世間で外反母趾用の靴として売っている多くの靴が、ただ幅が広いだけだったり、柔らかい素材を使って、足へのあたりを柔らかくしているだけの場合が大半です。
それ以上広がっちゃダメと厳しく、強く足を支えながらも、出っ張った指の付け根だけは優しくつつむ、そんな感じの靴が必要なのです。
元慶応大学教授の井口先生が著書(「足のクリニックⅡ、p165~166、井口傑、(株)南江堂、2008/7/10」)でお書きになっているように、そんな靴はほとんどありません。
まして、パンプス系の靴は全くと言っていいほど、世の中にありません。
嫌がる靴屋さんもあると思いますが、私も井口先生おススメのこれを使って、出っ張りを作るしか方法がないと思っています。
土ふまずとカカトがピタリだけど、指の付け根は痛くて無理!!
そんな靴が見つかったら、チャンスです。
その靴が革靴ならば、スプレッダーで指の付け根の出っ張りを収められるように、革を伸ばします。
正直、安い靴では、靴の構造がもたないことがあります。
そこそこの値段(私の感覚では2万円程度)の靴ならば、伸ばすことができます。
中敷き調整をした、サンプルの靴をお履きなったお客さまから、全然違う!!という感想をいただきました。
ヘッダーでご紹介している靴です。

サンプルの靴はサイズが大きいので、お譲りすることはできませんが、こんな履き方、調整をすれば、履けるようになるんだ、という希望の光を感じていただけたようです。
指の付け根だけが痛い靴を見つけて、お持ちくださるとウレシイのですが・・・・。

