東北地方
年も暮れようとする大晦日。
雪深い山の中に住むまずしい夫婦がおりました。
正月を迎えるにも米一粒すら残っていなかったのですが、
二人は幸せに暮らしておりました。
しかし、正月を越すものがなにひとつないのが気がかりでした.
「あんた・・・このままでは正月がこせねえだよ。」
「そうだ。これを売るといい。」
ということで、やさしい女房は、夫のために、かせ玉を作って町へ売りに行きました。
雪深い山を降りるのは一苦労。
動物たちに見送られながら、山を降りていく途中のことです。
地蔵峠にさしかかったところで、
そこには何体かのお地蔵様と小さなお地蔵様が、
しんしんと降りしきる雪のなか、
なんとも寒そうに雪をかぶっておられていたのでした。
それを見て、夫は「帰りにはお供え物のお持ちくらいは買ってあげられるかもしれないで。まってけろや。」ということで、パッパッと、せめて、お地蔵様の上の雪を払い除けてあげたのでした。
で雪を払ってやった。
大晦日の夕方町についた男はそこでかせ玉を売るが一向に売れない。
「かせ玉~。かせ玉~。」
しかし、忙しい年の瀬、人々はかせ玉なんか見向きもしてくれないのでした。
夕暮れが押し迫り、ついにひとつも売れず夫は涙を流しました。
「すまんのう・・・」と思わず待っている女房につぶやいた夫。
と、そこに笠売りのおじいさんがやってきました。
「売れたかえ。」
「いいや・・ひとつも・・・。」
笠売りのおじいさんもまったく笠が売れてない様子で、
「そうだ。おらのととりかえっこしないかえ。
どうせ売れなかったものだ。」
「それはいい。」
二人はそれぞれの売り物を交換することにして、男は家へ帰ることにした。
ただ交換しただけで、売れたわけではないのです。
しかし二人はそれはそれで、満足した様子でした。
その途中、また地蔵峠を通ったときに、
夫はなにもお供え物がないのもかわいそうと思い、やさしい夫は
お地蔵様の頭に笠をかぶせてやりました。
しかし、小さなお地蔵さんの分がひとつたりません。
「あれま(°д°)!こまったのう・・・どうすべ・・・。
しょうがない。これでがまんしてけろや」
と夫は自分の古い手ぬぐいを小さなお地蔵さんに、ゆってやりました。
そして、お地蔵様に一礼すると、夫は家に帰り着きました。
夫は、いいようのない明るい気持ちでいっぱいでした。
その日、二人は寄り添うようにとこにつきました。
そのことをおかみさんに話すと
「それは良いことをされましたなあ」
と言ったので夫は、にんまりと照れてしまいました(笑)。
そして二人は良い夢でも見るかのように、眠りにつきました。
そのころ地蔵峠では・・・・
あれあれ。どうしたことでしょう。
すっかり眠りについたかのように静まり返った森のなかで、
あのおじぞうさんたちが、なんと動き出し、
夫婦の家へザックザックと歩いてくるではありませんか。
ちいさいおちびさんは、そそっかしい様子です。
そしてそれぞれおじぞうさんたちは、手に手に大きな荷物をもっておられました。
家に到着~。
しかしそそっかしいおちびさんが、ずでんと転んだものだから、
一行は行列がいっせいに総崩れ(なにやってんだか(笑))
ずででででで。(笑)
地蔵さんズ(笑)は、見事に雪にうもれてしまいます。
そして見つかってはたまらないと、大急ぎでその場をあとにする地蔵様ズ(笑)。
夫婦が寝ていると夫婦がその音に気がつきました。
「なんの音だろう。怖い~。」
と怖がる女房でしたが、二人は恐るおそる玄関を開けてみると・・・
出てみるとそこには米・野菜・果物・着物、お礼のお金
などがたくさん置いてありました。
遠くに峠のお地蔵様が帰って行くのが見えました。
おじぞうさんたちも遠くから、
丁寧にお辞儀をすると、幸せそうに地蔵峠に帰っていくのでした。
その帰っていく後ろ姿を夫婦は幸せな気持になり、
感謝のきもちでいっぱいでした。
いつまでも手を合わせて見送るのでした。
こうして二人は無事に幸せな正月を迎えることができました。
それからというもの
そのお地蔵さんのお返しのもので、
いつまでも幸せに暮らすことができたということです。