「うさぎどん、何してるんだ?」
「今年の冬はよく雪がふったから、食べ物がとれない。寒そうだから、薪を集めておこうと思ってな。」
そこでたぬきもうさぎと一緒に薪を背負いました。
二人は山を降り始めました。
うさぎはたぬきを先に行かせ、後ろにまわって、
たぬきの背中の荷物のそばで火打ち石を打ちました
かちかち。
「ウサギどん、あのカチカチいう音は何だ?」
「あれはカチカチ山のカチカチ鳥が鳴いているんだよ」
とウサギはうまくごまかしました。
やがて火がたきぎに付き、
パチ、パチと音を立て始めました。
「ウサギどん、あのパチパチいう音は何だろう」
「あれはパチパチ山のパチパチ鳥が鳴いているんだよ」
とウサギはまたごまししました。
たぬきは・・・・・「ハチャ、ハチャ、ウアちゃあ~!!」とそれはもう飛び上がりました
なんとたぬきの背中がめらめらぼうぼうと燃えているんですから。
たぬきは一目散に転げて川の中にざぶんと飛び込んだのでした。
「このやろう、昨日はひどい目に合わせやがって!」とたぬき。
それはなんと別の顔したうさぎだったのです。
「あれま。」びっくりするたぬき。
「何のことだい?」とうさぎはしらばっくれて聞きます。
「昨日、カチカチ山で俺にヤケドをおわせたろうが!」とたぬきは猛反発。
うさぎは平然としたもので
「カチカチ山のうさぎはカチカチ山のうさぎ。
おらは唐辛子山のうさぎだ。」
といいます。うさぎはまんまと変装していたのでした。
うさぎは
「ちょうどやけどの薬を持っているんだよ。塗ってあげようか?」
といいました。
タヌキはすっかりだまされて
「それは助かる。さあ背中に塗ってくれ」
といいました。
ウサギが持っていった唐辛子味噌を背中のやけどにべっとりと塗ったのだからたまらない。
タヌキはやけどのあとに唐辛子がしみて、痛さで悲鳴をあげました。
「あぎゃああああ~!!!あぢぢぃぃぃぃぃぃ!」
そのしみることしみること。たぬきはのたうちまわって転がっていくのでした。
たぬきはなんともまあ、ひどい目にあわされたのでした。
「この野郎!見つけたあ~!昨日はよくもひどい薬を塗ってくれたなぁぁ!」
ウサギが「何のことだ?」と聞きます
「あれっ!」
たぬきはまたまたびっくり。なんとこれも別の顔したうさぎでした。
これもうさぎがへまんまと変装してたぶらかしているのです。
「唐辛子山のうさぎは唐辛子山のうさぎ。おらは杉山のうさぎだ」
とまたしらばっくれます。
「今木を切って船を作っているんだ。
魚でも釣ろうかと思ってね。君も釣らないか?」
とうさぎ。
たぬきが「ふふん。面白そうだな」と得意そうになり、誘いに乗りました。
「僕は体が白いから木の船を作る。君は体が黒いから泥の船を作るといい」
といいました
ここが有名な泥の船の場面です。
たぬきは「そうかい」と納得して、泥をこねて船を作りました。
そしてうさぎとたぬきは一緒に川に出て船を漕ぎ始めました。
ところがうさぎの船は木なのでちゃんと浮いていますが、
たぬきの船は泥なので、やがて溶けだし、穴があいて沈んでしまいました。
「うわあ、なんだこれは!」
「助けてくれぇぇぇぇ!」
たぬきは・・・・どんどん沈んでいきます。
たぬきはやっとうさぎに騙されていたことに気がつきましたがもう遅いです。
そしてとうとうたぬきの姿は見えなくなり、そのまま池のそこに沈んでしまったのでした。
おばあさんのお墓の前で悲しんでいるおじいさんを
見つけたうさぎはおじいさんのもとへやってきました。
「おじいさん、やっつけたよ!おら、あのたぬきをやっつけたよ!
おら、おら・・・・、とっても怖かった・・・・。」
声を震わせてとうとうおじいさんのもとでうさぎは泣き出した。
そんなうさぎに、
「そんな怖い思いをさせてしまったんだね、
ほんとうにすまないことをしたな。」
とうさぎに優しく謝り、そして礼をしました。
そしておじいさんとうさぎは、おばあさんを丁寧に供養したということです。