ラヴェルの「鏡」は、全6曲からなる、
比較的技巧的にかかれた上級用に書かれたピアノ曲集で、
特にむずかしい2重グリッサンドで知られる「道化師の朝の歌」が有名。
他にも印象派らしい「悲しい鳥たち」、「蛾」といった不思議な感じのタイトルが並ぶ。
「蛾」は、ランプにせわしくむらがっては、ライトで焼け死ぬ蛾を表現する。
「悲しい鳥たち」は神秘的でミステリアスな雰囲気へいざなう小品。
「鐘の谷」は、たえまなく響く嬰ト音の鐘の音が神秘的に谷に鳴り響く。
中でも、この大海原の小船はまるで油絵を見ているような
ラヴェルならではの不思議な音の世界が広がり
聞いているものをその世界に引きずり込む。
大海原で小さな小船が、
大波小波にもまれるさまを彷彿とさせる状況が目に浮かぶ。
大波にもまれながら、小船は見え隠れする。
情景的な音楽となっていて、
おびただしいばかりのグリッサンドやトレモロを駆使した
難曲としても知られています。
まず拍子についてですが84分の62拍子ではなく、
この曲は8分の6拍子でもあるし、
4分の2拍子でもありますよ、という意味です。
augmentz piu a piuというのが物語るように、
空間的な音の広がりを持たせています。
アウグメンツ=「次第に広がりを持たせて」という意味です。
38小節からやってくる、
おびただしいまでのトレモロの連打は
大きな波が打ち寄せてはじいて、
きらびやかな波のしぶきまでも音で表現しています。
一旦静まり返った海は再びまた大波がやってきて、
また静まり返るというドラマチックな表現を見せています。
和音を絡めたトレモロが演奏至難ですが、
両手から見合うパッセージやグリッサンドが
連続するので練習に指を痛めがちな曲。
ラヴェルのグリッサンドはむずかしい。
グリッサンドの練習は特に指を故障しがちなので、
注意が必要です。
グリッサンドは、上昇はたやすいですが、
下降が以外とむずかしいです。
上昇では、ツメで滑らせて、
下降では指の内側で滑らせます。
fffはあっても、この曲では豊かに響かせることが重要で、
決して乱暴ではないということがポイントです。
非常に幻想的で色彩豊かな曲でオーケストラに編曲されたものもあります。