久しぶりのベートーヴェンのソナタです。
熱情はベートーヴェンのソナタで頂点を極めた作品で
三大ソナタに必ずといっていいほど入る名曲です。
アッパーショナータ(Appasionata)は「熱情」という意味で、ものすごく激しい、
とか火のような激しさでというイメージをもっていただくと納得いけるかと思います。(Appasionatoはほとんど同じ意味。)
類似表現に、con fuocoというのがありますが、
これは「火のような情熱をもって」
という意味なので意味としてはほぼ類似になります。
大規模なソナタ形式で、激情的な一楽章、
優しくもあるが旋律に情熱を秘めた二楽章、
そして嵐のような三楽章と、
聞くものを瞬く間にその世界観へと引きづりこみ
とりことさせるのです。
自分が熱情のレビューをしていいのかすごく迷いました・・・・
また、どのピアニストを参考にしていいのかもものすごく迷いました。
他に熱情にはすぐれた名演奏がたくさんあるので迷いますが、
ブレンデルや、アラウ、ホロヴィッツ、リヒテル、バックハウス、アシュケナージ
など、おなじみのピアニストたちの名演奏もぜひ聞き比べてください。
一楽章
allergo assai
ヘ短調、8分の12拍子
不気味で重くつぶやくような主題が現れる。
それは消えていくかのように思わせて、
突然激烈なパッセージが現れ
驚かせる。
ピアニッシモとフォルテシモの激しい繰り返しが続いた後に
やや穏やかな第2主題が姿を現す。
やわらかくはあるが、オクターブで重々しく演奏されるため
多少不気味な旋律であり、
美しくはあるが、不安な感じは拭い去りきれない。
そして再び嵐のような激しい部分が戻ってきて
けたたましく叫び声のようなたたき付けるような部分が続く。
それが収まるとホ長調の新しい展開部へと入り、
大規模な発展を遂げる。
劇的に激しく転調し、
嵐のごとくまくしたてる音楽は激烈を極めるが
すぐにまたしずかさを取戻す。
静か音楽はまたふたたび激しさを増していき、興奮し、
高潮して激しいカデンツァへ突入する。
また一旦静かになり、
静かな音楽と激烈な部分を繰り返しつつ、大きく展開していく。
そして最初に出てきたモチーフが再び登場する。(再現部)。
この再現部は途中で大きく発展して、
最もクライマックスであるカデンツァ風の激烈なパッセージの部分へと突入する。
そして一旦テンポを落としピア二シモで呼吸を置くと、
突然ピウアレグロとなり激烈な嵐が再びやってくる。
オクターブの連打で激しい叫びを上げて、
音楽は深い奈落の底へ沈黙していく。
第2楽章
Andante con moto
変二長調、4分の2拍子。
嵐のような一楽章とは対照的な、非常に美しい楽章で、やすらぎに満ちた楽章。
主題が変奏曲風に繰り広げられていき、動きのある旋律に発展していく。
自然な流れを要求している。
この美しい楽章が頂点に達し、再び最初のテーマが帰ってくると、また再び嵐の気配を予感させる和音がやってくる。
そして、それてフォルテシモの激烈な和音によって、
美しくも平和な気分は無残にも断ち切られてしまう。
第三楽章
Allegro ma non troppo~presto
ヘ短調、4分の2拍子
前楽章からそのまま切れ目なしに演奏され、
フォルテシモで雄たけびを上げた和音は
激烈を極めるフォルテシモの激しい和音連打で開始され、
更なる激しい嵐を予感させる。
せわしく動き回り、演奏に関してもかなりの難易度で演奏至難とされる楽章で
特にコーダでは1楽章以上の更なる激烈を極める部分であり、
劇的な要素も問われるという
音楽上でも非常に演奏困難な問題をかかえる楽章である。
prestoに入ったところの速いテンポでの和音連打も非常に困難。
みなさんがたぶん一度はどこかできいたことのあるソナタだと思います。
「ハンマークラヴィーアソナタ」と並ぶ音楽的にも非常に難しい部分が多く、
ピアニスト泣かせなところもあるから
よく国際コンクールの課題曲に指定されやすい曲であります。