ブログで読後感を書いている『良寛さん』(植野明磧 著/柏樹社1974)の文庫版を買い求めました。
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文庫版『良寛さん』

慕われる生き方 良寛さん
2010(平成22)年6月30日 第1刷発行
著者  植野明磧(うえの・めいせき)
発行者 杉本惇(すぎもと・まこと)
発行所 株式会社 中経出版
定価:本体571円+税
2015(平成27)年3月10日
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 植野明磧先生の名著『良寛さん』の、古書ではない書籍として流通しているものは、この文庫本のみかと思います。


 手にした瞬間、やはり明磧先生の手を離れた本なのだなぁと少し寂しい気持ちになりました。

 柏樹社の豪華装幀の初版本の内容との違いを確認すべく、「王様の速読術」の手法を使って確認しました。


 まず、書名が異なりました。文庫本は『慕われる生き方 良寛さん』となっています。
 そして、逸話の収録数と掲載順は原書と変わりませんが、逸話全体を5つの章に分け、各逸話には表題のほかに副題が付けられました。
 また、原書の巻末の「良寛さんの生涯」が、「小伝 良寛さんの生涯 ─ 天上大風、七十四年」と表題が変えられました。しかし、その内容は同じです。

 これらは明らかに文庫版出版社の考えによるものです。

 さらに決定的な違いが2つあります。
 その第1は、原書には、すべての逸話に明磧先生自筆の絵画が描かれていることです。文庫本には、いくつかの逸話に別の絵描きさんによる絵画が添えられています。
 また、第2には、原書巻末の「良寛さんを求めて」という明磧先生の渾身のあとがきが、文庫本では削除されました。このことについては、文庫本の巻末「編集ノート」に次のような一文がありました。
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本書では紙幅の都合から割愛しましたが、原本にはあとがき風に、良寛と自身との関わりについて述べた短文が収録されています。
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 「短文」とはどのくらいの文章を指す言葉なのでしょうか。
 『国語大辞典』(小学館1988)によれば
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たんぶん【短文】
短い文。ごく簡単な文章。
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 原書の「良寛さんを求めて」は、逸話よりも文字サイズをさらに小さくして各ページ2段組で、明磧先生の想いがびっしりと綴られています。これを「ごく簡単な文章」と判断してよいわけがありません。


 それでも、『良寛さん』の文庫版を発行しようと決意したのは、文庫本の出版社の中に、明磧先生の『良寛さん』が時代の流れとともに日本から消えてはいけないと思う人がいたから、文庫化の企画ができたものと推察します。

 ここでは触れませんが、文庫本の奥付には、文庫化したいきさつが書かれています。それを読むと、きちんとした手続きを踏んで文庫化したことがわかります。私は真面目な出版社だと思いました。

 文庫本が原書とは程遠いとしても、この文庫本によって、名著『良寛さん』が新たな読者を獲得できるならば、よしとしなければならないと思いました。


 次のブログでは、名著『良寛さん』の古書の状況を調べてみようと思います。