70才後半になった母はスーパーに行くとお惣菜を買うことが増えました。一人で暮らしていたので、料理をする気にならなかったのでしょう、それは理解できます。今の私がそうです、一人の時は面倒なことはしたくないのです。
私が61才になって退職すると、母も山で一緒に暮らすことが多くなりました。今までは母が中心で料理をし、私はそのお手伝いでした。ところがいつの間にか私がメインで料理をし、母は芋の皮を剥いたりする下準備の手伝いをするというのように、今までとはまるで逆になったのでした。
二人で台所に立ち、くだらないおしゃべりをしながら同じ空間で一緒に食事作りをするのは楽しい時間でした。
「料理するのをやめるとボケる」と聞いたことがあるので、私は母もできそうな料理を母にしてもらうことにしました。リクエストは「カレー」です。をリクエストしました。母は玉ねぎの皮を剥いたり、じゃがいもの皮むきをしたりし始めました。突然母は作業の手を手を止めました。「それで、それから何をどうしたんだっけ?」「順番忘れちゃった」・・・
自分に苛立った母は「あなたやってよ、私後片付けするから」と私に丸投げ。ギブアップしてしまいました。母は、私たちが子供の頃から作っていたカレーの手順が分からなくなったというのです。
母は実家で一人で暮らしている時は、よく鍋を焦がしていました。ガス台は二つ口。一つには味噌汁用に鍋に水と具を入れ煮ています。もう一つのガス台では野菜炒めをしています。この二つの料理を同時進行するにはかなりの注意力、神経を使います。そう言うことがだんだんできなくなっていました。一つに集中しているともう一つが焦げてしまうのです。今まで母はさらに同時進行で酢の物やサラダだって手際よく作っていたのです。それが70後半からだんだん要領悪くなり、80過ぎると、一つずつ仕上げるようになりました。
ちょうどその頃、私と暮らすようになったので、母は料理から解放されたかったのだと思います。ですがその頃から、物忘れが増えていったのです。「料理をやめるとボケる」は本当かもしれません。
お隣さん(品川のお友達)が今日、東京へ戻って行きました。滞在中食べられなかった食品をみな私に「食べて」と言って置いていきました。
余った肉や魚の加工品、野菜、などに紛れてこんなものもありました⬇️
彼女の家には一流の料理家が書いたレシピ本が並んでいます。調理器具は全てドイツ製です。料理には材料を厳選し、時間をかけ、すべてが手作りです。第一、「料理をしなくなるとボケるのよ」と言っていたのは彼女なんです。そしてインスタントものなんか絶対使いませんでした。ドレッシングもケチャップも買いません。お惣菜も買いません。冷凍食品も買いません。それが彼女の誇りでした。
彼女は78才。昨年お世話をしていたお母さんを亡くしました。それでがっくり力が抜けたようになったのだと思いますが、まさかレンチンのご飯やインスタントラーメンを買うとは思いませんでした。そしてそれを隠すこともなく私に持ってくると言うことにもびっくりでした。
私もあと数年で70歳後半です。夫にはいつまでも生きていてほしいです。私が料理する気になるのは彼がいるからなのですから。一人だったらレンチンのご飯とカップラーメンになってしまうかもしれないから。
あっぽ
