フィレンツェにてヴァン クリーフの夕べ | 人生の果実を味わう彫金職人の暮らし フィレンツェ物作り物語

人生の果実を味わう彫金職人の暮らし フィレンツェ物作り物語

フィレンツェ在住26年の、ジュエリークリエーターKaorukoが、物作りについて、イタリア子育て生活をまじえながらお伝えします。

日本の皆様


おはようございます。


細胞検査の翌日、しゃかりきテニスをした私は、

耳の下の腫瘍が腫れて、少々痛みも出てきて、


自分の素行に少々後悔していた。


主人や娘がこの二週間ほど立て続けに風邪気味だったのだが、なんだかそれまでもらってしまったようで、

覇気のない日々となる。


身体の声を聞くのが第一!と、

制作のスピードを落として、しっかりと眠る時間を増やす。


しかし、夕方にはヤン スンと約束をしていたので、重い身体に鞭打って、気持ちも上げて待ち合わせ場所へ向かう。




フィレンツェで高級ブランドがひしめく通り、トルナボーニ通り。


待ち合わせはヴァン クリーフの前だったのだが、彼女は店のどまん前が嫌だったみたいで、

フェラガモの前で待っていて電話をかけてきたのだった。


二人で落ち合って、ヴァン クリーフ店内へと向かう。



ヤン スンから数週間前に

「ヴァン クリーフの招待状があるけれど、興味ある?」


と尋ねられた。


ハイブランドの作品を間近で見られるのは嬉しいので、もちろん二つ返事で、行きたい旨を伝える。


恐らく、彫金関係者は皆同じ気持ちだろうと思う。


普通にお店を見に行っても良いのだろうが、買う気もないのに足を運ぶのも気が引ける。


とは言え、留学当初は、ハイブランドジュエリーを見るためだけに、ブランド店に足を運んでいたことを思い出す。


今回も店舗に行くことは同じだが、

一部の招待客だけのイベントのようで、店内にはシャンパンなどの飲み物や、1センチくらいの小さな小さなフィンガーフードをボーイがサーブし、


バイオリン、ヴィオラ、チェロによる生演奏をバックミュージックに、ヴァン クリーフジュエリーを身につけた淑女たちが明るいショーケースの間を、優雅に行き来する。


予想通りの雰囲気だったが、

ヤン スンは

「こういうの、実は苦手で招待状来るけれど、ほとんど行かないんだ。」

と。


彼女のいでたちはいつも通りカジュアル。

ジーンズにジャケットだった。


店内は皆が知り合いのような感じで、至る所で挨拶を交わす人々の光景を目にする。

例に漏れず彼女も挨拶の輪に加わる。


フィレンツェ社交界の様子を、興味深く観察する。


そして、ヴァン クリーフを象徴する可愛らしいアルハンブラシリーズや、エメラルドとダイヤがふんだんに用いられたネックレスなど、久しぶりにハイジュエリーをたっぷりと見て、気分が高揚してくる。


写真を撮るのは憚られる雰囲気だったので、おとなしくしていたが、


作品を説明してくれた女性が、写真撮っても良いと一言、言ってくれたので、

数枚だけおさめる。




1920年代の作品は、職人の技が散りばめられており、上のピンク色のエナメルとアメジストが入ったシガーケースは中の細工も見事で、口紅なども入るようになっていた。





こちらはアジアンテイストのデザイン。





蝶のシリーズも可愛らしかった。


ゴージャスな作品は写真におさめず、ヤン スンとこれが好き、これはイマイチなど好き勝手に批評しながら作品を見る。


「もう一杯飲んだら?」

と言われつつも、ただ酒に気が引けて、ここではこれでおしまい。


そして帰り際にお土産をいただく。


箱を開けただけで匂いが漂う芳香高いキャャンドルだった。





久しぶりにこういう場所に身を置いて、師匠アレッサンドロに思いを馳せる。


彼もイベントをする時に、お客様へのお土産はチョコレートにするかなどと、言っていたな?


資金源が芳醇なハイブランドではないから、ない知恵を絞りながら考えてはいたが、


お金持ち層に支えられてジュエリー業というのは成り立っているのだから、彼らの心をくすぐる作戦が必要なのだ。




こういう一家の一員でありながら、社交界的な雰囲気を苦手とするヤン スン。


毎週火曜日は、カッシーネ公園の朝市で、待ち合わせして安くて新鮮な野菜果物を買う。


ここのところテニスで知り合った仲間たちとこうして色々な場所にへ繰り出して、楽しんでいる。


ヴァン クリーフを後にして、

「私が一杯奢るよ!」

と言って、

サントスピリト界隈に足をのばすと


ここでもまたヤン スンの昔の知り合いのイギリス人のご夫人とそのパートナーのイタリア人と出くわし、

皆で飲むことになる。


年配の男性は絵描きだということだったが、

ちょっとマストロヤンニ風で、装いもばっちりだったから、売れない絵描きではなさそうだった。


皆で一杯だけ飲んで、レストランや家へと、それぞれが次の予定に向かっていった。


今日はいつもと違った夕べを楽しむことができ、満足だった。


今月後半にオランダの長女のもとに行く私は、久しぶりに英語を学び直し始めているのだが、

この日、ヤン スンの友人のアメリカ人やイギリス人女性と話す機会がありながら、


差し障りなく話すだけで、積極的になれなかったのが、

少々残念。


とは言え、準備し始めたり、やりたいことにフォーカスすると

こうして機会は向こうからやって来るというのは、


なんとも不思議なことである。


ご縁に感謝しつつ、いただいた周囲の人々の愛を、私も自分の周りに広げて行きたい。


今日も最後まで読んで下さり、ありがとうございました。



ミロ ペンダント 925シルバー 西洋彫り




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