ちょっと芸術にも触れたいなぁと思っていた。
高校でプリモ レーヴィの公開授業をしたばかりの主人と道端で出会い、パラティーナ美術館の中で落ち合うことにする。
お互いあれこれと集中することが多く
ちょっとぼけっとしがちな夕方の時間。
疲れもピークだったのだが、やはり真の芸術に触れると
澱のように沈殿していた疲れも消えていく。
この美術館にはラファエロやカラバッジョの名画もたくさんあるが、それらにはすでに触れているので、気にかかる方はこちらをどうぞ。
もちろん名画の前で足を止めるが、今日はちょっと趣向を変えて他の絵画をじっくりと見てみた。
いつもは素通りしがちなcorridoio delle colonneという細いスペースには
フランドル派の絵画があった。
ちょっとヒエロニムス ボシュを思い起こさせるグロテスクな絵に出会う。
アニメや漫画につながるこういう意匠に結構惹かれる。
こちらは別の部屋でふと見上げると
ロッソ フィオレンティーナの大きな絵画。
でもよく見てみると、絵画の中に長方形の枠が見える。(拡大して見てもらうと境目がよく分かると思う。)
「これはどうしてだったんだっけ?」
と主人。
部屋ごとにまとめて置かれている絵画の説明文に目を通すと、
ロッソが描いた原画部分が長方形の線のところまでで、
この絵をピッティ宮殿に飾るために購入したフェルディナンド大公子が大きな額に合わせて足りない部分を他の画家に描かせたとのこと。
いやはや、額縁に合わせてアレンジしたとは!
そしてこの静物画も目を引いた。
1940年第二次世界大戦から、色々な人の手に渡りながら、ドイツに持ち出され
イタリアに返還されるまでのいきさつが興味深い。
持ち主のドイツ人はは高額の売値を持ちかけ、それで購入しないのならば、絵画を台無しにするという。
ウフィツィ美術館に買取を持ちかけた時には更に金額がつり上がっていた。
脅迫ということから裁判沙汰になり75年の月日を経てイタリアに戻って来た。
戦争のどさくさの盗品はナポレオン時代、そしてそのずっと昔から、わんさかあった訳だから、
その芸術品が生まれた国に返せ!
と言ったところで中々簡単なことではなうだろうなぁと予想できる。
大英博物館の物だって、戦争と権力に任せて奪ってきたコレクションもあるだろうし。
もちろん正当な金銭のやり取りで購入されたものが主流だろうけれど。
そういう背景を考えずに色の洪水に没頭するのが、いつもの私の鑑賞パターンだけれど
たまにはウンチクに耳を傾け、
戦火をくぐり抜けて絵画がたどった数奇な運命を想像するのも面白かった。
こちらピッティ宮殿にはこのパラティーナ美術館以外にもたくさんの美術館がぎゅっと詰め込まれている。
駆け足ではなく、一日かけて所蔵品をじっくり鑑賞し、天気が良ければボーボリー公園を散策するのも
美術好きには旅行の醍醐味かもしれません。
今日も最後まで読んで下さり、ありがとうございました。





