『黙って行かせて』ヘルガ・シュナイザー

ヘルガ自身の半生を描く作品であり、
語り部が死に絶えてつつある今、どのように歴史の悲劇を伝えていくかが課題となっていた戦後60年の時に、この書は、新しい視点から歴史の真実を問い直す問題作として、8カ国で翻訳された大ベストセラー。

ヘルガの母は子供二人を置いて出ていってしまった。母の職業、それは。
アウシュヴィッツ、第二収容所の看守

『夜と霧』では、フランクルの視点で被収容者から見える様子が描かれていたが、本書は、母の口から、収容する側が、何をしていたか。
多くの戦慄の事実が述べられる。
それは歴史の本や裁判で明らかになってはいたが、自分の母親が、その当事者として、任をはたしていて、そのことを母親自身から聞く。

「夜と霧」と同じく本当にあったことだから
重い。著者の精神状態がこちら側に伝わってくる。

何を求めて著者はこの27年ぶりの再会を決心したのか。

母、子、ホロコースト  
立ち止まり回想しながら進んでいく
まさに母は「あちら側の語り部」

本作は「夜と霧」のように、あの戦争の姿を伝える貴重なルポルタージュの性格をもっている。