ちくま新書『医療幻想』ー「思い込み」が患者を殺す                                 久坂部羊

昨夜読み終えましたが
どう紹介したら良いか随分迷いました。
とにかく皆様に読んでいただきたい本です。

小説家であり医師、在外公館で医務官としての勤務経験もある久坂部羊さんの本です。この本で私たち一般人また、患者、患者予備軍に、思い切って真実を示してくれたのだと思う。
『本書のみを鵜呑みにせず、読者諸氏は自らの見識と判断で有用なところのみを汲み取っていただければと思う(作者)』

この本を読んで、驚いたことはあまりにも多すぎてどれをとっていいかわからないけれど、自分の言葉でまとめ、お伝えしたいことを厳選してみる。

1.  抗がん剤はガンを治すことはない。小さくすることがあってもなくならない。副作用があり、治療で治る可能性よりも、苦しんで寿命を縮める危険性の方が高い。
70歳をすぎたら、治療に期待をかけ苦しむよりも、何もしないで残された時間を有意義に過ごす方が賢明だ。
◎大切なことは
こういう判断は、冷静なうちにしっかり心の準備をしておかなければ下せないということ。実際は慌てふためいて、治療に縋り、治療や検査でどんどん状態が悪くなり、人生のエンディングを最悪なものにする人が圧倒的に多い。

◎また、治療をしないということは、死ぬのを覚悟して悲愴な思いで過ごすということではない。余計な検査や治療で体力を失わなければ、ガンが自然に縮んだり命に害を及ぼさず、長期間「共生」できる場合もある。ある程度の年齢になれば、がんと共存しつつ、日々を穏やかに暮らすのも悪くない。

2.   がん検診について
胃がん検診  日本と韓国のみ アメリカの国立がん研究所「胃がん検診は推奨しない」
肺がん検診   日本のみ
マンモグラフィー   50歳未満では検診効果がない

日本はレントゲン検査の受けすぎと言われている。診療報酬を加算させるのが目的で、念の為というのが常套文句。

がん検診で正常なのに疑わしいと言われる可能性がとても高く実際がんであることは極めて少ない。がんの疑いとされ、精密検査を受けさせられて結果を待つまでに精神の具合が悪くなる。放っておいても大丈夫なガンを見つけて臓器を失うことに。内視鏡で出血、胃や腸に穿孔を起こすことも。
そして被曝。被爆ではなく、被曝。
放射能に晒されるということ。
○骨チンサという検査があるが。それを受けたあとは赤ちゃんを抱くことが出来ない。赤ちゃんが全身被曝するからだ。
日本人はどこも痛くもないのに、わざわざ被曝する意味がわからないとは、外国人の意見

3.『平穏死』という言葉が挙げられている。

できるだけ医療の手を加えず、自然な最期のこと。
これを読んでハッとした。
私が母に望んだこと、そして母が望んでいたことは、まさにこれ。『自然』

読書のグループのメンバーの方のご紹介で呼んだ『猫鳴り』という作品の中で『し・ぜ・ん』と、老猫が飼い主に言ってくれる場面がある。
そのおかげで私は母の最後を心静かに見送ることが出来た。

ー抜粋ー自然死のすすめ
終末期の医療、人工呼吸、中心静脈栄養は、一旦始めると、やめれば死ぬので相当に決断が辛い。身体は水死体のようにふやけ悲惨。家族も疲弊し、地獄のような日々が続く。
一方
枕元に家族が集まり、痛みと苦しみだけを医療用麻薬で除いて、器械やチューブは付けず、静かに最期を迎える「平穏死」は、本人にとっても家族にとっても実に好ましいもの。
悲しみの中にも、納得と感謝の気持ちが溢れ、一人の人間の死にふさわしい荘厳さが感じられる。

4、老化について。
認知症も以前は痴呆症、その前は老人呆けと言われたが。結局「老い」ゆえの症状がほとんどなので、昔のように、ボケたからと言って大騒ぎせず、「ああ、ボケたからもう物忘れが酷くてね、へへへ」くらいの気持ちで迎える。
そして、もう歳なんだから、老化は仕方ない、絶対に老化についての薬はないので無駄な注射やサプリに走らない。
骨粗鬆症もみんななってる。注射をしても骨密度は上がらないし、上がったと思ってもまた下がる。気にするだけストレス。この辺は医療報酬と製薬会社のために存在する。
シワがよるのも治す必要は無い。

5  「逆幻想」
緩和ケアの医者が1番死にたい病気は、がん。がんはポくっと死なないから、余裕があって、会いたい人にあったりできる。末期の痛みも麻薬でかなりコントロールできるようになった。イメージだけで恐れている人は恐れなくていいものを恐れている「逆幻想」。

6   介護について
ー引用ー介護の現実は、きれいごとやまっとうな主張だけでは何の解決にもならない。大切な配偶者や親が亡くなって晴れ晴れとした気持ちになる家族を批判する気にはなれない。

7 日本人のクリニック好き
ー引用ーしばらく様子を見れば治る病気がものすごく多いのに、すぐ病院に行きたがるのは、医学界と製薬業界が長年にわたり作り上げた「早期治療が良い」という幻想の成果である。

まだまだ沢山勉強になることが書かれていました。ちくま新書で、図書館の医学の所にありました。どうかみなさんも1度お読みになってください。