川端康成は、『雪国』から入りましたが、その表現の瑞々しさと静かな流れの中から最後のクライマックスの映像を完全に読者の目の前に出現させるような圧倒的な描写に高校生の私はその世界に酔いました。そしてその時に葉子は加賀まりこさんがいい!と何故か直感的に思いました。映画化されたものが加賀まりこさんだった時は本当に驚きました。


大人になってから美大の講師をしている友人に薦められたのがこの『掌の小説』
『掌』は『たなごころ』とも読みますね。まさに、『たなごころ』の中に入る位の、そして『たなごころ』の中で温めることができるような小説。短編集だと思います。


 122編の短編はそれぞれ異なった宝石のように異なった輝きを放ちます。何度もこの『たなごころ』の中を開いてみていますが、まだ最後まで行き着いていません。最初に読んだ時に心の琴線を揺らしたものは何度読んでも新鮮に感動を与えてくれます。

今の時点での私のおすすめは。

バッタと鈴虫
夏の靴
屋上の金魚

特に1番好きな作品は
バッタと鈴虫
この作品は幻想的で季節感も音も匂いも感じる時にはっとするような胸を打たれる描写で綴られていて、映像化されたらどんなに美しく愛しく悲しいだろうかと思います。

短編の中でもとても短いまさに『掌』に入る小説集となっています。