これまで日本のフードデリバリー市場はUber Eatsと出前館の2強状態でしたが、そこへ「送料0円・サービス料0円」を引っ提げて上陸したロケットナウが急成長し、既存の2社も対抗せざるを得ない状況になっています。

​各社の動きと、この「0配」バトルの背景をまとめました。

​🚀 1. ロケットナウの「ゼロ配」の衝撃

​韓国の大手IT企業(Coupang)系列のデリバリーアプリであるロケットナウは、以下の強力な武器で日本市場を席巻しています。

​配送料・サービス料がいつでも0円(サブスク加入も不要)

​対象店舗(バッジ付き)では、お店のイートインと同じ価格で注文可能

​松重豊さんやのんさんを起用したCM「ゼロ配刑事」などで一気に知名度を拡大

​「デリバリーは便利だけど手数料が高すぎる」と感じていたユーザー層をこの「ゼロ配」で一気に獲得し、2025年以降、日本国内で爆発的にダウンロード数を伸ばしています。

​🛵 2. ウーバーと出前館の対抗策

​これに黙っていられないのが既存の2大巨頭です。

​出前館の動き:

2026年3月から「お店価格で出前館」を全国展開し、それとあわせて送料無料の施策をスタートさせました。完全に対抗心むき出しの動きと言えます。

​Uber Eatsの動き:

以前から「Uber One(ウーバーワン)」という月額サブスクで配送料0円になる仕組みを提供していましたが、非会員向けにも「配達手数料¥0」の期間限定カウントダウンプロモーションを頻繁に行うなど、防衛策を強めています。

​💡 今後の見通し:消費者には嬉しいが、持続可能性は?

​ユーザーとしては、各社が競い合って「0円」や「お店と同じ価格」を打ち出してくれるのは非常にありがたい状況です。

​しかし、配達員への報酬やプラットフォームの運営費をどこから捻出するのかという問題があります。現在は、韓国で大成功したビジネスモデルの資本力を背景に、日本でのシェアをもぎ取るための「出血大サービス(身を削った投資)」のフェーズと言えます。

​かつてUber Eatsと出前館がクーポンを配りまくっていたバトルの第二幕が、今度は「基本手数料ゼロ」という形で起きている状態です。

0配の中身は、お店(飲食店)、そして何よりロケットナウの運営会社(韓国の巨大IT企業Coupang)自身が、莫大な資金を投じてこのコストを負担しています。

​「誰がどう負担しているのか」のウラ側を3つに分けて解説します。
​🏢 1. お店(飲食店)は「販売手数料」を払っている
​「配送料0円・サービス料0円」だからといって、ロケットナウが完全にボランティアで動いているわけではありません。
​仕組み: ユーザーが料理を注文すると、お店は売上の**約30%〜35%**を「プラットフォーム利用料(販売手数料)」としてロケットナウに支払います。これはUber Eatsや出前館とほぼ同じ水準です。
​「お店と同価格」のカラクリ:
従来のデリバリーでは、お店はこの35%の手数料を回収するために、店頭で1,000円の料理をデリバリーでは1,300円に上乗せして販売していました。
しかし、ロケットナウの「お店と同価格」対象店舗は、文字通り店頭と同じ1,000円で販売しています。つまり、お店は1,000円の売上から350円を手数料として引かれるため、手残りは650円になります。お店は利益を大幅に削ってでも「薄利多売で数を売る」か「新規の顧客をつかむための広告費」と割り切って参加している状態です。
​💰 2. 運営会社が「配達員の報酬」を全額かぶっている
​ここが一番のポイントです。
ユーザーも送料を払わず、お店も通常通りの手数料しか払っていないとなると、「配達員に払うお給料(報酬)」の出どころがなくなります。
​仕組み: 現在、ロケットナウの配達員へ支払われる報酬は、ロケットナウ(親会社のCoupang)が身銭を切って全額負担しています。
ユーザーを増やすために、入ってくる手数料よりも出ていく配達報酬の方が多い、いわゆる**「赤字覚悟の出血大サービス」**を自社で補填しているのです。
​🌏 3. なぜそんな無茶なことができるのか?
​彼らがこれほど強気な勝負を仕掛けられるのは、韓国市場での成功体験があるからです。
​韓国での勝利の方程式:
親会社のCoupang(クーパン)は、韓国で圧倒的なシェアを持つEC・デリバリーの巨人です。韓国でも同様に「配送料ゼロ」の破壊的な戦略でライバルをなぎ倒し、市場を独占した過去があります。
​狙いは日本のシェア強奪:
日本でも、最初は巨額の赤字を垂れ流してでも「Uberや出前館からユーザーを奪い取る」ことを最優先しています。ユーザーが「デリバリー=ロケットナウ」という頭になれば、後から広告費などで回収できるという、巨大IT企業ならではの長期的なパワーゲームです。
​💡 まとめると
ユーザーの「0円」は、**お店の「利益の削り」**と、**運営会社の「巨額の赤字(先行投資)」**の2つによって成り立っています。
​かつて携帯電話の「実質0円」や、PayPayの「100億円還元」の時に起きたことと同じ構造ですね。消費者としては恩恵を全力で受けておくのが賢いですが、この「0円合戦」がいつまで続くかは見ものです。