愛をひとさじ
夢をひとしずく
哀しみの度数
希望の後味

この世で酔うためのお酒カクテルグラス


硬い鱗のような皮膚をしたマスターが
痩せぎすな女のウェーブがかった長い髪に、酒を勧める。

「結構よ。これ以上酔いたくないから」

夜風に当たってくるわと、
えんじ色に塗られた木の扉をすり抜ける後ろ姿。

照明の下
しゃらしゃらと光る毛先がマスターの視界の隅で、星のようにきらめいたとき。

あと一杯だけ。
言葉にならない密かな願いが
一瞬赤くあぶり出され、
闇へ溶けていった。



夢カクテル

カクテルグラス