昔むかし、どこかの惑星の
とある母子の物語。
「エスメラルダ、もうお休みの時間よ。
お家へ戻りましょう」
「まだ、もうちょっとだけ、ねえ、ママ」
ここは、家からほど近くにある、
見晴らしのよい小高い丘の上。
柔らかい草の上に二人並んで座り、
静かな夜空を眺めていました。
黒く塗り潰されたような空を背景に
白く輝く星が、いくつも瞬いています。
ここ一帯は、大変雨の多い地であり、
こんな風に美しい空が見えることは
まれなことでした。
まだ少女のエスメラルダは、ずっと空を見つめたまま、母親に呼ばれても腰を上げる気配は
ちっともありません。
「だって、お家に帰ってしまったら、次はいつこのキレイな星を見られるの?
もっと見ていたいの、ここに居たい」
「エスメラルダ、大丈夫よ。
ちょっと目を閉じてごらん」
「・・・・・なんにも見えないよ」
本当に?
じゃあ、今見てた星は、どんなだった?
白くて、大きいのや小さいのや、
色々あったよ。
・・あっ!見えた、光ってる!
いっぱいあるよ!
ほら、大丈夫。
もう目を開けて。
「おんなじ星だ、ママ、私のなかにも
キラキラした星があったよ!」
彼女の心には、輝く夜空が焼き付いていました。
「良かったわね、目を閉じればいつでも
あの星とあなたは一緒なのよ。
さあ、帰りましょう」
エスメラルダは頷きながら、
もう一度目を閉じてみます。
暗闇のなかで、自分の存在そのものが
光を放っているようで、
不思議に思えました。
その晩、ベッドで安らぐ頃には
丘のことも、星のことも
自分のことも
穏やかに消え去っていました。
あの夜見た色も
風の音も
草木の匂いも
優しい微笑みと好奇心も
何処ともない、
自らに。
・~・
・~・
とある母子の物語。
「エスメラルダ、もうお休みの時間よ。
お家へ戻りましょう」
「まだ、もうちょっとだけ、ねえ、ママ」
ここは、家からほど近くにある、
見晴らしのよい小高い丘の上。
柔らかい草の上に二人並んで座り、
静かな夜空を眺めていました。
黒く塗り潰されたような空を背景に
白く輝く星が、いくつも瞬いています。
ここ一帯は、大変雨の多い地であり、
こんな風に美しい空が見えることは
まれなことでした。
まだ少女のエスメラルダは、ずっと空を見つめたまま、母親に呼ばれても腰を上げる気配は
ちっともありません。
「だって、お家に帰ってしまったら、次はいつこのキレイな星を見られるの?
もっと見ていたいの、ここに居たい」
「エスメラルダ、大丈夫よ。
ちょっと目を閉じてごらん」
「・・・・・なんにも見えないよ」
本当に?
じゃあ、今見てた星は、どんなだった?
白くて、大きいのや小さいのや、
色々あったよ。
・・あっ!見えた、光ってる!
いっぱいあるよ!
ほら、大丈夫。
もう目を開けて。
「おんなじ星だ、ママ、私のなかにも
キラキラした星があったよ!」
彼女の心には、輝く夜空が焼き付いていました。
「良かったわね、目を閉じればいつでも
あの星とあなたは一緒なのよ。
さあ、帰りましょう」
エスメラルダは頷きながら、
もう一度目を閉じてみます。
暗闇のなかで、自分の存在そのものが
光を放っているようで、
不思議に思えました。
その晩、ベッドで安らぐ頃には
丘のことも、星のことも
自分のことも
穏やかに消え去っていました。
あの夜見た色も
風の音も
草木の匂いも
優しい微笑みと好奇心も
何処ともない、
自らに。
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