次のフタを開いたなかには、

さっきよりも更に小さな人形が ひっそりと

ありました。


『よくわたしを見つけましたね。

どうぞ こちらへ』


案内された場所は、誰かの家のなかのようで

す。

木の壁、木のテーブル、暖かい暖炉に、

コーヒーのふくよかな香りが漂っています。

柔らかなソファに腰を落ち着けて、

居心地の良さに 少女の人形は ずっとここに

居ても良いかもという気持ちがしました。

声が響いてきます。



『今、ここにあるものを見てください。

初めから 何も欠けることなく ただあるもの

を。

自己は 言葉や概念ではありません。

ただ 在るのです』


少女は、何も言わずにうなずきました。



『さあ、わたしを開くのです』

木の人形は、こちらに向かって 静かに身を傾

けています。