名誉勲章 赤錆の花 | todou455のブログ 火縄銃ときどき山登り

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 公式ハッシュタグ 令和三年6月23日 骨董品ランキング3位 

  昨日は,久しぶりに体調が充実していたので,懸案だった口径18ミリの9匁筒の尾栓抜きに取り組んだ。この鉄砲は,とても筋の良い品物で堺筒ながら流派ものの鉄砲である

 

 

この鉄砲を撃てるようにするためには,銃身のお尻に捻じ込まれた尾栓と呼ばれるネジを外さねばならない。しかし150年以上の年月による錆で

固着した尾栓ネジが,そう簡単に外れるわけがない。 この鉄砲を二週間ばかり油漬けにし,その間,毎日,木槌でぶったたいた。尾栓抜きのコツは,尾栓と銃身の間に固着した錆を粉砕することだ。機械油を錆に浸透させ錆に打撃を加え,さらに油を浸透させる。油がすっかり浸透すれば,錆は泥状になり尾栓が回し抜けるという仕掛けだ。しかし,この鉄砲は,かなり頑固で,油漬けだけではだめだった。そこで,二つばかり魔法をかけて気長に作業したが,それでも尾栓は,回るようで回らない。

 理論的には回るはずだし,銃身を木槌で叩いてみると打撃音が鈍い音に変わっていた。手持ちのスパナでは太刀打ちできないだけだ。そこで大工の棟梁に頼み込み,パイプレンチで試してもらった。

 

 

 

                    パイプレンチ出動

 

しかし,それでも尾栓は回らない。棟梁は,どこからか鉄パイプを持ち出してきて,それをパイプレンチの柄に差し込んで回し出した。つまり梃子を長くしたのである。すると尾栓は嘘のように簡単にクルクルと回り出したから,私もびっくりしてしまった。

                鉄パイプも加勢

 

 

150年以上前の錆が泥のように溶けています。

 

 

 結局,この鉄砲の尾栓を抜くのに20日以上もかかってしまった。火縄銃の尾栓抜きは,とても難しい。 尾栓が抜けたら,次は,銃身内の整備を忘れてはならない。銃身内も赤錆だらけになっているからだ。まずは,木の棒に取り付けた布で銃身に付着した赤錆を拭いとるのだ。

 

 

  一度だけでは駄目だ。これを何度も繰り返すのである。すると,たくさんの赤錆の花を見ることができる。この赤錆の花は,完全な鉄砲整備を行えた者だけが見ることのできる名誉勲章なのである。

 

名誉勲章 赤錆の花

     

 

 プロの銃工たちは,電気的な方法で,尾栓を回し抜いているらしい。オクラホマのアーサー・ゲッツ君は,全長約160センチもある銃身のネジを1日で抜いてしまった。彼は日本人以上に日本らしい若者だ。アーサー君のフェイスブック Saika Armory - Home | Facebookは,日本の火縄銃愛好家には好適の情報源である。ぜひアーサー・ゲッツ君のフェイスブックを訪問していただければと思う。

 

アーサー君の商号 雑賀造兵厰