こだわりの馬上筒 (上)
田付流は研究熱心で革新的な流派なのか?
田流の馬上筒を二丁持っている。一丁はいつもこのブログで,大きさ比較に用いている6匁筒だ。これは,口径の大きさは違うものの須川薫雄氏の「日本の火縄銃」P32で紹介された鉄散弾銃と同型のものだ。
もう一丁は下の写真のもので,引鉄や火挟みにこだわりが見られる。暴発防止のため,引金が折畳式になっているのだ。また,火挟みは,火縄を取り付ける部分がパイプ状になっている。これは,射撃時に火皿に逆流して来る火薬の高圧ガスにより火縄が吹き飛ばされないための工夫であり,かつ動きの激しい馬上で,火挟みから火縄が脱落しないための配慮と考えられる。鉄散弾銃といい,先日,ブログ記事にした目当ての穴といい,田付流は,研究熱心で工夫好きな流派なのかもしれない。
四匁三分玉の田付流馬上筒

全長59.3cm 銃身長36.5cm 口径1.4cm 和歌山県登録


引鉄を起こした状態 引金を折畳んだ状態
なお,この馬上筒は,和歌山県登録以外には,全く来歴が分からない。銃砲研究上も大変残念なことである。