7月11日に、漫画『二月の勝者』のコミック最終巻(第21集)が発売になります。
同日、拙著『「二月の笑者」になるために』も発売になります。
その「はじめに」をこちらに転載します。
はじめに
中学受験漫画の金字塔『二月の勝者―絶対合格の教室―』(小学館)の名場面にぴったりのフレーズを、拙著『中学受験「必笑法」』(中公新書ラクレ)の本文から引用して、各ページの見出しとして添えさせてもらいました。
この1冊をめくるだけで、全21集にもおよぶ大作『二月の勝者』の名場面を一覧できます。それぞれの場面に、前後の文脈を説明するキャプションもつけています。ページごとに、感動が甦るはずです。
それに対応する拙著『中学受験「必笑法」』のフレーズとその解説文を読むと、漫画に描かれている登場人物の心境や、その背景となっている中学受験の構造が、よりよくわかると思います。
「中学受験に必勝法はないけれど必笑法ならある」が、『中学受験「必笑法」』の心意気です。どんな結果であれ、中学受験を笑顔で終えることはできる、中学受験をふりかえったときに笑顔になることはできるということです。
見方を変えれば、『中学受験「必笑法」』に私が込めたメッセージの一つ一つに、『二月の勝者』という漫画が圧倒的なリアリティをもって、「実例」と説得力を与えてくれたようにも感じられます。
つまりこの1冊で、『二月の勝者』と『中学受験「必笑法」』の両方のいちばんおいしいエッセンスが味わえてしまうのです。
名場面を見て「この場面の前後をもういちど読みたい」と思ったら、『二月の勝者』のコミックを読み返してみてください。添えられたフレーズと解説を読んで、より詳しくその意味が知りたいと思ったら、『中学受験「必笑法」』の該当ページを探してみてください。
高瀬志帆さんが『二月の勝者』の連載を開始したのが、2017年。私が『中学受験「必笑法」』のもととなる連載を開始したのが2017年。ほぼ同時です。当時、高瀬さんと私は面識がなく、申し合わせたわけではありません。それなのに本書で、ふたりのメッセージがピタッと一致しました。
『二月の勝者』には、中学受験だけでなく、教育虐待や不登校や無料塾に関する描写もあります。私も、中学受験だけでなく、教育虐待についても不登校についても無料塾についても本を出しています。むしろそういう視座から中学受験を見ていることが、高瀬さんと私の共通点なのだろうと思います。
高瀬さんの中学受験観は、作中では、主人公のカリスマ塾講師・黒木蔵人の中学受験観として描かれます。初めは露悪的に登場した黒木でしたが、彼の中学受験観が彼の人生観に裏打ちされていることは、作品全編を読むとわかります。漫画の読者は、もう一人の主人公・佐倉麻衣とともに、少しずつそれに気づいていきます。
黒木の人生観は、彼の人生において負ったたくさんの傷によって構築されています。彼の生き方は、「傷つくことは決して悪いことじゃない。むしろ傷こそが、そしてそれと真摯に向き合い続けることこそが、ひとを魅力的にし、その人生を輝かせるんじゃないかな?」と教えてくれているように、私には思えます。
黒木の薫陶を受けた桜花ゼミナール吉祥寺校の32人の生徒たちは、中学受験の結果がどうであれ、その後の人生の紆余曲折がどうであれ、このままならない世界のどこかで、それぞれのかけがえのない人生を、みんな必死に生きています。
それって最高の励ましじゃないですか?
「おわりに」は、『二月の勝者』の高瀬志帆さんが書いてくれています。
7月21日には、高瀬さんとの対談ウェビナーも開催予定です。
先着1000名。お申し込みはこちらから→ https://hugkum.sho.jp/625158
コミック第21集とあわせて、拙著『「二月の笑者」になるために』もぜひお読みください!


