前回の続きです…




夫の帰りを待っていると、

借主さんの奥さまとお子さんたちが、

わざわざ挨拶に来てくださいました。


『お家を貸してくれてありがとう飛び出すハート


5歳と3歳の男の子が、お母さんに促されながら声を揃えてお礼を伝えてくれましたおねがい


そして、9ヶ月の赤ちゃんを抱っこした奥さまが、

「子どもたちも私も、このお家が大好きだったんです。庭に手が回らなくて、すみません」

と、言ってくださいました。



入居されたときは1人だったお子さんが、3人に。医師として働きながら、

子育てをされている奥さま。週3でお仕事にも復帰されたそうです。

…庭が荒れてしまうのも、無理はないなと思いました。


*****


そのとき、ふと思い出したのが

デンマークで暮らしていた頃のこと。


当時2歳半の長男と住み始めたその家は、夢のように素敵な一軒家でした。


庭には子ども用のブランコと子供用の小さな家。木々に囲まれた6畳以上ある広いウッドデッキ。ぶどうが実り、国旗がほこらしげに揺れ…そして、手入れの行き届いた美しい薔薇。



その家での2年半の間に、次男を出産。

慣れない海外生活、幼い長男、つわりの重い妊娠、一時帰国での出産、デンマークに舞い戻って、乳児との生活。


正直、庭に手をかける余裕はありませんでした。気づけば、あんなに美しかった庭は、たんぽぽ畑に( ;  ; )

芝刈りをするのがやっとの状態でした。

 


転居の日、オーナーがぽつりと一言。


"Where are roses?"


その寂しそうな表情が申し訳なくて、今でも忘れられません悲しい



あのときの自分と、今日出会った借主さんの姿が重なりました。


*****


掃除をしながら、この家での思い出が次々とよみがえります。


何度も打ち合わせを重ねてつくった家。

完成して住み始めた頃、寝室から見える2つ並んだ子ども部屋のクロスに心が躍ったこと。長男は水色、次男はペパーミントとパステルカラーグリーンハーツ



休日の朝、次男のピアノの音と

パンの焼ける香りで目覚めたこと。


焼きたてのパンを、庭で家族で食べた時間。


家庭菜園でトマトやナスを収穫した日。

かぼちゃが畑を埋め尽くしたあの光景。

誕生日会、還暦祝い、ハロウィン、クリスマス。

思い出が、止まらないほどあふれてきました。



「改めて、いい家やな。ここに住みたくなったわ」

夫がぽつりとつぶやきました。


本当に、私たちにとっては

たくさんの夢を叶えてくれたマイホームでした。



でも今の私たちに、

この家をもう一度維持できるのかと考えると…


庭も畑も、正直少し大変かもしれない。

広さも、今の暮らしには少し持て余してしまう。


そして何より、今の生活の中心は大阪。

友人たちとの距離も大きい。



大好きな家だけれど、いつまでもアウェイ感が少し残るどこかしっくりこなかった町でもありました。




家は好きラブラブ

でも、場所も含めての「暮らし」なんだと感じます。



後日、庭は業者さんにお願いして整えていただき、荒野の状態からは無事に回復キラキラ


そして、いよいよ販売スタート❣️


ありがたいことに、すでに何件か見学予約も入っているとのこと。




大好きだったこの家が、

また誰かのマイホームになって、

賑やかな場所になる。

そう思うと、気持ちも軽やかにウインク




別れがたい気持ちを抱えながら、

その日、私たちは家を後にしました🍀