「どうしたの?」 

不思議そうに周が尋ねる

「えっと、その…ハルくんが」

「ハルくん?」

同じ大学に通う元カレの春翔とは、周と出会う前に別れていた

友人としての関係は続いているが、後ろめたいことはなにひとつない

ただ

デートをするなんて思ってなかった今日のちひろは、トレーナーにデニムのスカートいうラフな格好

仕立ての良いスーツに黒いロングコートを羽織った大人の周とは、あまりにも不釣り合いだった

春翔の目には、どんな風に映るだろう

向こうから声をかけられたら、なんて言えばいい?

そんなことを考えてる間にも、春翔の足音はどんどんこっちに近づいて来る

夕方とはいえ、お互いの顔を十分認識出来る明るさだ

ちひろが思わず後退りしかけた、次の瞬間

「動かないで」

低い声がして彼女が顔をあげると

周は左手で掴んだコートで華奢な体を覆い、右手でちひろの頬を包み込むようにして唇を重ねた


つづく↓