「お父さ~ん、ちょっとこれ見て~」とリオが言った。
いつものようなはじける声でなく、人の顔色をうかがったようなねちこい響き。
この顔を見た瞬間に要件はわかった。
新しい靴を買って欲しいのである。
「ほら、この靴、ここがこわれてるの」とリオ。
「すり減ってるて言うんや」
「うん。だから、新しいナイキの買って」
ほら、来た。
リオの靴はすぐこうなる。
ジーニィの靴は非常に長持ちするのに、リオのは下手をすると2週間でズタズタになる。この靴は郊外のナイキアウトレットで買ったもの。我が家にしては非常に奮発して40ドル近く出した。いつもは25ドルくらいまでのを買う。
実は、この靴は去年の11月頃に買ったので、非常によく持った。しかし、そんな事を言うとまた高いのを買わされるので、
「それぐらい大丈夫や。まだ履ける」
「でもね、ほら、こっちもこうなってるの」
「あ~あ~」
「水の中に入ると、足がぬれるの」と陳情を続けるリオ。
「長靴とちゃうから水が入って当たり前や」
「でも、最初は入らなかったよ」と、食い下がるリオ。
「わかった、わかった。ほな、土曜日に買ったるがな」
「今日買って。今、モデルズ(うちの近所のスポーツ品店)でセールしてるの。土曜に終わるかも知れない」
リオは欲しいものがあると、いつもコンピューターで調べ、どこそこで買うと安いとか、いつまでセールをやってるとかを詳しく調べる。
「心配すんな。土曜はかき入れ時やから、終わらへん。そんなんどうでもええから、早よ勉強せい」
僕は伝家の宝刀「勉強せい」を出して、何とかその場を収めた。
買ってもらえるとわかって、うれしそうなリオ。
おねだり息子に一本取られた。
Takaya
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