朝、いつものように7時15分くらいに1階に下りて行ったら・・・



主夫と双子とアメリカンワイフ by  山崎 卓也

リオが机にかじりついて勉強していた。

片膝を立てて、変な格好である。


「ぼく、テストの勉強してるの。今日、社会科のテストがあるから」


一夜漬けよりひどい一朝漬けである。


机の上に散乱する紙片はこんな感じ。



主夫と双子とアメリカンワイフ by  山崎 卓也

「アメリカ独立戦争の主な原因は何か?」


この紙を裏返すと・・・



主夫と双子とアメリカンワイフ by  山崎 卓也

「フレンチ・インディアン戦争で出費がかさみ、英国政府はお金を必要としていた。そこで増税を決定したら、植民地の人達(アメリカ)が怒った」


他の紙片にも独立戦争に関する質問と答えが書いてある。


「お前、今からこんなん覚えれるんか?」とリオに聞いた。何を隠そう、父は一夜漬けの限界を何度も身を持って体験しているのだ。


「覚えなくてもいいんだよ。ほら」と言って、リオはインデックスカードを見せた。



主夫と双子とアメリカンワイフ by  山崎 卓也

恐ろしく小さい字でテストの答えが書きこんである。


「先生がこのインデックスカードに答えを書いてテストの時に見ても良いって言ったの。でも、表にしか書けないの」とリオが説明した。


ふむふむ、「持ち込み可」という奴だな。僕も大学の時、テストに何を持ち込んでも良い教授のコースをできるだけ沢山とったっけ。クラブの先輩からもらった「資料」を手に、コピー機の長い列に並んだ記憶が蘇って来た。


「そうか。ええ先生やのぉ」と思わず僕は呟いた。良い教師の基準はそんなものではないのだろうが・・・。


「もうそろそろ朝飯食えよ。パンやったら食いながらできるやろ?」

「うん」

しかし、僕の考えは甘かった。



主夫と双子とアメリカンワイフ by  山崎 卓也


「お父さん、ほら、雪だるま」

「こら、アホなことしてんと勉強せい!」



主夫と双子とアメリカンワイフ by  山崎 卓也

「今度はマスク」

「わかった、わかった。早よ勉強せい!」

「学校でもちょっと勉強できるから大丈夫だよ」

「そんなもんあてにすんな。今できることをやれ」

「は~い」



主夫と双子とアメリカンワイフ by  山崎 卓也

リオは米粒に絵を描くような作業を続けた。

しかし、普通の大きさに書くほうがもっと早いと思うのだが。このペースではカード1枚にぎっしり書き込む時間はありそうもない。


さて、今日のテスト。何点を取ってくるのだろうか?

頑張れよ、リオ!


Takaya





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