こちらは8日から夏時間になった。

1時間早くなるので、日が暮れるのがぐっと遅くなる。


晩御飯の後、リオが、

「お父さん、僕、外で遊んでくる」と言って、元気に飛び出した。



主夫と双子とアメリカンワイフ by  山崎 卓也

時刻は6時40分。

まだ、空は薄ら明るい。

「ほら、僕、ジャンプシュートがうまくなったでしょ」と、リオは誇らしげに言った。



主夫と双子とアメリカンワイフ by  山崎 卓也

「ボンボンボン、ボンボンボン」とバスケットボール特有の低い音があたりに響く。

相手もいないのに、リオはしゃかしゃかと忙しげに動き続ける。



主夫と双子とアメリカンワイフ by  山崎 卓也

シュートが入っては「よっしゃあ」と喜び、外れては「あははは」と笑いながら転がって行ったボールを追いかける。


「あっ、そうだ」

リオはガレージの中に走って行った。ややあって、中から小さい子供用のゴールを持ち出してきた。



主夫と双子とアメリカンワイフ by  山崎 卓也

「お父さん、6フィート(約1.8メートル)だったらダンクができるんだよ」

何度も実演してくれた。時計を見ると、ほぼ7時。

「さあ、そろそろ中に入ろ」

「あっ、ちょっと待って。これ見て、これ」



主夫と双子とアメリカンワイフ by  山崎 卓也

あんまりうまくないがボールを指先で回してみせた。

「さあ、片付けて、中、入ろ。宿題、まだ残ってるし」

「は~い」とやや不満そうにリオは返事した。



主夫と双子とアメリカンワイフ by  山崎 卓也

「お父さん、僕、夏時間、大好き。どうしてか知ってる?」

「外で遅うまで遊べるからやろ?」

「うん」

リオは嬉しそうに笑って、ガレージに向かった。

トレーナーのフードを取ってやると、頭は汗びっしょりだった。

「お前、脱いだらええのに。暑かったやろ?」

「今、暑くなった。忘れてた」

そう言ってから、リオはわははははと快活に笑った。


春はすぐそこまで来ている。


Takaya


(お知らせ)

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