昨夜の事である。

僕はせっせとブログを書いていた。

時計は夜の11時を回っている。

背後でドタドタと音がして、声がした。

「お父さん、これ貸してね」

ジーニィだった。

彼女は両手に洗濯かごを持っていた。

僕は一瞥しただけで、「うん」と生返事をすると、ブログ作業を再開した。


ややあって、また足音がした。

「お父さん、これ貸してね」

今度はリオだった。

彼はもうひとつある色違いの洗濯かごをかかえていた。

僕は「うん」とまた生返事をした。


やがて、廊下の方から、ズ~ズ~と何やらこすれる音と、キャッキャという双子の笑い声が聞こえてきた。

「ジーニィ、もう一度!」

「よ~い、ドン!」

そして、またズ~ズ~とキャッキャ。


また何かアホな事をしとんな、と思い、カメラを手に廊下に出た。



主夫と双子とアメリカンワイフ by  山崎 卓也

これを見ただけで、僕はすべてを理解した。

「お前ら、またアホな事しとんの~。なんで黙ってたんや!」


僕はカメラを構えて、用意した。


「よ~い、ドン!」


2人は手でこいで、じゅうたんの上をのろのろと進んで行く。

手前のリボンは言わずと知れたゴールライン。


「お父さん、ジョイどけて~っ!」とジーニィが息を切らしながら叫ぶ。

撮影があるのに、そんなことをしている暇はない。

「大丈夫や。お前らが来たら、ジョイは逃げるから」



主夫と双子とアメリカンワイフ by  山崎 卓也

おっと、どうしたことか?ジーニィ号が横を向いてしまった。

「ガハハハハ。ジーニィ、何やってんの?」とリオが「うさぎとかめ」のウサギのごとく早くも勝利を確信して、ジーニィを笑う。

「リオがぶつかったから、こうなったのよ。このレースは無効よ!」とジーニィが文句を言う。

リオは相手をせずにどんどん進む。

僕の予想に反してジョイはでんと座りっぱなし。



主夫と双子とアメリカンワイフ by  山崎 卓也

リオ、ゴールイン。

「やった~。勝った~!」と喜ぶ。

その時、

「ベキッ」と鈍い音がした。

「あっ」とジーニィが小さく叫んだ。


あわれ洗濯かご。ジーニィの重みでふちが割れてしまったのだ。


「こら~っ!もう!アホな事するから。もう終わりや。遅い。寝ろ!」

僕は笑いながら怒った。


春休みとは言え、夜の11時過ぎにこんなアホなレースをするとは。


僕はさっさと洗濯かごを片付けて、双子をベッドに追いやった。


我が家のアホな2人によるアホなレースでした。


Takaya


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