「ねえ、お父さん、アイスホテルの事を調べて」とジーニィが言った。
「何、それ?」
「氷でできたホテル。スウェーデンにあるの」
「ホンマ、それ?」
「うん」
で、早速、ネットで調べました。
「ice hotel」で検索したら、すぐ出てきた。
いや~、驚いた。本当に全部、氷でできてる。客室もレストランも、ロビーのカウンターやソファも、全部、氷。ベッドの上にはクッションがあって、その上にトナカイの皮でできたカバーがついている。ゲストは寝袋の中で寝る。室内温度はマイナス5~マイナス8度(でも、外よりずっと暖かい)。
全ての部屋は彫刻家による芸術作品で、朝10時から午後6時までは博物館となっていて、彫刻愛好家等が多く訪れるらしい。そして、夜になると、宿泊客に客室を開放するそうだ。
「ジーニィ、これを作ろうと思うの」
「作って、どうするの?」と、私は嫌な予感を抱きながら聞いた。
「学校のプロジェクト(工作の宿題)に出すの。ねえ、お父さん、手伝って」
「はいよ~」と、安請け合いしたのが、間違いだった。
まずは、60cmX36cmの厚紙を用意し、その上にジーニィが建物の輪郭を描いた。次に、厚さ2.5cmの発泡スチロール板をさいの目に切り、積み上げて壁を作る。と、これがなかなか大変なのだ。
のり付けをしっかりやらないと壁が崩れ落ちてくる。更に、ジーニィが壁を曲線にしたので、曲がる所は、発砲スチロールの両側を削り落していかなければならない。削った後には細かい粉のようなものが出て、これが鼻に入ってむずかゆい。
「えんやこ~ら、えんやこ~ら」と、昔、ピラミッドを作らされた奴隷のように、私は、一生懸命、壁づくりをやった。
「お父さん、頑張って」と娘に励まされながら、二人で毎日2時間、4日続けて働きました。
ようやく壁ができて、ジーニィがベッド、ソファ、テーブル等をせっせと作り、中に入れた。
そして、遂に完成。
「もう、これだけやったら、ええやん」という私を振りきり、娘はホテルの玄関に雪だるまを作った。
細部へのこだわりが尋常ではない。
彼女の工作に対する執念にはいつも驚かされる。
この作品、別に展覧会に出展するわけでもなし、ただの宿題だというのに。。
更に、半年もすれば、置き場所がなく、ゴミ箱へと葬られる運命にある。
いや~、ご立派。
さて、提出の日、彼女はスクールバスに乗ると作品が壊れてしまうと思い、私が車で学校まで彼女を送って行った。
ロビーでクラスメートから称賛を浴びて、彼女は嬉しそうだった。
その日、家に帰ってきたジーニィは、
「ジーニィよりもっとすごいのを作った子が二人いたよ」と報告した。
上には上がいるものだ。親の顔が見たい、と思った。
というところで、今日はおしまいです。
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Takaya


