今年の予算から、少し変化が始まります。
「まち・ひと・しごと創生」に関する国の予算の使い方について、本格的なPDCA(計画、実施、評価、改善)サイクルが始まることになります。
民間の厳しい経済環境の中で働いている方々からすれば、きっと、何をいまさら、と思うことでしょう。
しかし、企業と行政では、仕事の成果をはかる指標が違うため、PDCAが少し違います。
企業は、「利益」「収益」という明確な指標がありますが、行政にはありません。利益という概念がない公益的なものこそが、行政の仕事だからです。
公益的な仕事の成果をはかる指標を何にするのかというのは、実はとても難しいものだと思います。
しかし、難しいからといって、やらないのはおかしい、と思います。
難しいがために、これまでは、予算がついたものを「どれだけ配ったか、使ったか」が、あたかも成果指標のように扱われがちでした。(執行率、という言い方がされます)
たとえば、家庭の中で、子どもの「成績を上げるために塾へ通う」という目標にもとづく予算の使い方の成果は、何ではかるでしょう。
A.塾に通った日数、(あるいは、塾にかかった費用)
B.成績の向上
答えは、当然、Bですよね。
あるいは、行政の仕事で例えると、「就業率を上げるために職業訓練を行う」という予算で、成果は何ではかるべきでしょうか。
A.職業訓練を受けた人数、(あるいは、職業訓練にかけた費用)
B.就業率の向上
当然、Bです。
ところが、これまで行政は、Aを成果指標にしてしまいがちでした。
成果をはかるのが難しいからです。
「景気後退など他の要因があるから就業率では難しい」など、理由はいくらでもつけられるでしょう。
しかし、そうやって結果を追いきらずに毎年執行されてきた予算が、国民から見て「無駄」「バラマキ」と批判を受け、行政に対する信頼を低下させることになってきた、と私は感じています。
国民から信頼される行政に、これからは、変わらなければなりません。
予算PDCAサイクルをしっかり回して、国民のためになる予算の使い方を考え抜いていかなければりません。
さて、今年の政策の新しい特色である「まち・ひと・しごと創生(地方創生」。これからの日本にとって重要な施策になってきます。
「まち・ひと・しごと創生」について、政府が決めた達成すべき長期ビジョンは、人口(2060年1億人)と経済成長(2050年GDP実質成長率1.5~2%)と、されています。
(図:政府資料より)
この長期にジョンを達成するために、地域で、子どもが育てやすい環境や生活できる収入が得られる仕事をつくる、というような施策を、独創的に地方公共団体が考えていくことになります。
(地方というと東京以外ととらえがちですが、この目標を考えれば、東京も例外ではありません。地方創生というより、地域創生という言い方がいいと思います。)
「まち・ひと・しごと創生」の成果を測る目標が明確な施策については、地方公共団体の予算の使い方に自由度をもたせることになります。例であげたAとBを考えれば、Bの成果を出せる施策に補助金が出ることになります。
逆に、そのような使い道にしなければ、次はないということになり ます。これは、行政はよくよく知恵を絞らなければならない、ということになってきます。予算を配れば、あるいは、予算を使って何かをすれば、仕事をしたことにできた時代に比べれば、はるかに難しくなると思います。結果がとわれてくるのです。
そして、視点を変え、いかにすれば成果を出せるかを踏み込んで考えてみると、「地域の創生」は、行政だけではできないことが多いのではないかとも思います。何でも行政という意識や、誰かがやってくれるという意識を捨てて、住民と行政が一緒に取り組んでいかなければできないことなのではないか、と思います。
そして、それができれば、人口減少を防いで、仕事をつくる、という地域創生の目標達成は、実は、予算は驚くほどには、かからない場合もあるかもしれません。むしろ、予算を沢山使えばできるというものでもなく、予算よりも地域のつながりの強さや一人一人の意識の改革によってなされるものなのかもしれません。ソーシャルキャピタルともいわれます。
助け合う、励まし合う地域の人と人とのつながりの強さが、お金よりも幸福度に影響する、女性が安心して子どもを産めて出生率を押し上げる、という考え方もあります。今後、地域創生とは何かをつきつめて考えていく時に、予算の大きさだけでなく、そうした見方、考え方も重要視されてくる可能性があります。
ここ数年で行政にもPDCAが必要といわれるようになってはきましたが、一部を除き、今のところまだ形だけで終わっているものが多いというのが実態でした。
「まち・ひと・しごと創生」を機に、しっかりとやっていきたいと思っています。

