「冷やし馬」」 アオとヒサ
誰もが目を奪われるほどの美しい娘ヒサ
青いたてがみをもつ美しい馬アオ
ヒサは 幼いこ頃から男の子には見向きもせず
母屋より厩の中で遊んでいた娘でした。
アオが病気になれば
ヒサは一緒に藁の中で寝て家人を心配させ
ヒサが風邪をひけば
アオが厩に入りたがらず
「この子らは誠の兄弟のようじゃ」
父親は苦笑いをし
「ちっと大目にみすぎたかね」
母親は困り顔です。
年頃になったヒサには降るほどの縁談が舞い込みますが
「このまま家に居らせてください」
「お父もお母もいつかはいなくなってしまう、そうしたらどうするつもりじゃ」
ヒサの家は小さな分家なので
父親はヒサを分限者に嫁がせたいと思っていました。
その頃、村の中では
縁談を断ってばかりのヒサに嫌なうわさが囁かれていました。
ヒサが縁談を断るのはアオのせいじゃ
畜生のぶんざいでヒサに懸想をしておるのじゃ
ちがいねぇ と。
今日もまたヒサは一日働いて熱くなったアオの首や体を優しく洗い
アオは首を垂れヒサに体を寄せます。
冷やし馬をする姿を見るうち
村の男たちはヒサへの気持ちを諦めてゆきました。
けれど ヒサが十八才になった時
大変な話が舞い込んできたのでした。
ーつづくー


