「プールデート」って言うより

「プール遊び」がぴったりくる。

 

市民プールで泳いだから。

 

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レジャープールに行きたいけど

夏休み中は、混んでるし

 

だったら、地元のプールへ行こ!

ってなった。

 

わたしの行きつけの市民プールは

この日、夜間しか、やっていなかったから

去年まで住んでいた場所のプールに行くことにした。

ふつうの小学校のプールだけど

室内プールで、天井が高く

サンルームみたいに、光が降りそそぐ。

 

午後に、はらぺこくんと最寄り駅で待ち合わせした。

 

近くのスーパーで、水を買う。

はらぺこくんは、クーリッシュを買って

歩きながら、チューチューしてる。

 

「もう10年近く、泳いでないかも」

 

そうなんだ!

つきあってくれて、ありがたい。

 

小学校に着いて、下駄箱ではきかえ、プールへ。

男女の更衣室に分かれる。

 

平日の公営プールはがら空きで、

泳いでいるのは、ひとりふたり!!

イスの上の監視員さんが暇そうにしている。

 

 

「すごい!貸し切り状態だね!」

 

はらぺこくんに、子どもの水泳帽子とゴーグルを

貸してあげた。

 

はらぺこくんは、ラッシュガード姿。

室内プールなのに。

「なんか、お腹とか出てるから

 恥ずかしくて」

と、はにかんで笑う。

 

黒いゴムの水泳帽子を、きつそうにかぶると、

あら、なんだか精悍になった。

 

「すごい、強そう。泳げそう!」

 

実際、ちゃんと泳げる人だった。

 

最初こそ

「水がつめた~い!」

(温水プールなのに😊)

と、言っていたけど、だんだん慣れたら

ざぶん、ざぶんと、平泳ぎで25メートル泳いでた。

 

子どもの頃、よく川で泳いでたんだって。

 

すごい!

 

「川で泳いだこと、ないなぁ。

 海と湖はあるけども」

 

それから、ビート板で泳ぐ。

両手でつかまって、バタ足。

 

「じゃ、バタ足で競争しようか?」

 

「よし!」

 

バシャバシャバシャ・・・・

 

あれ?はらぺこくんが、後ろになっちゃう。

 

「ちょっとー

 本気出してないでしょ?!」

 

「笑 本気出してるよ」

 

「うそ!!手抜きしてる!!」

 

じゃあ、次は、かえる脚で競争。

ビート板につかまって、すーい、すい・・

 

また、はらぺこくんが、後ろにいっちゃう。

 

「本気出しなさいっ!」

 

「出してるよ~」

 

「うそ!!」

 

疲れたはらぺこくんは

25メートルプールの端っこで休憩中。

 

はらぺこくん目がけて、まっすぐ泳いでく。

顔出し平泳ぎで、すいーーすいーーー

 

はらぺこくんが、にこにこ見守っている。

 

プールの端まで、25メートル泳ぎ切って、

ばあ!って、はらぺこくんの胸に飛び込んだ。

お父さんみたいに、抱きとめてくれる。

 

「かっぱさんの頭だけ

 水の中を、進んできてるみたいだったよ」

って、にこにこ。

 

それから、

ビート板の上にあおむけになって

ふたりでプカプカ~

 

ああ、気持ちいい。

プールの白い天井が見える。

 

 

腕を回して

「背泳ぎ~~」

 

それから、犬かき!

 

「見て!犬かきで25メートル泳げた!」

 

「足はどうやってるの?」

 

「こうやって、四つん這いみたいに、動かすの」

 

はらぺこくんが、水の中に顔を入れて

わたしの足の動きを見た。

 

男の子が二人、やってきた。

小学校3,4年生くらいかな。

 

キリッとしたゴーグル姿で

あっという間に25メートルを、クロールで泳ぎ切る。

清潔な水音と水しぶき。

 

「なんか、すごいな。

 いきおい、すごい。」

 

「そうだね。

 若いってすごいね。」

 

男の子たちは、水の中で

鬼ごっこして、遊び始めた。

 

「ねえねえ

 子どもってさ、オットセイっぽくない?

 濡れると、体がピカピカに光って、かわいい。」

 

「そうそう、はじくんだよね、水を。」

 

「張りがあるから!」

 

日焼けして黒光りした、

少年たちの、肩、背中。

水から出たり、もぐったり。

ほんとに、オットセイみたい。

 

はらぺこくんが、ざぶーんって泳ぐ。

 

はらぺこくんは、くじらっぽいな。

大きくて、おっとりしてる。

黒いラッシュガードが相まって。

 

「ひっぱって泳いで!」

はらぺこくんの背中につかまった。

 

自分でも足を動かしながら。

ふたりでおんぶして、すーいすい。

 

「ねえ、ウミガメになったみたいだね!

 ウミガメの親子~😊」

 

端まで行ったら、交代する。

「今度は、はらぺこくんが、つかまって」

 

すると、はらぺこくんがふざけて

わたしの両足をつかむ!!

 

「ちがうでしょーー!!」

 

「だって、どこつかめばいいの?」

 

「ここ」

と、水着のトップスのすそを指したら

 

「脱げちゃったらどうするの?」

 

「脱げっこないでしょ!」

 

もう!真面目にやらないんだからーーー

 

ドタバタと、ウミガメごっこしながら

端まで泳いでいくと、はらぺこくんが

水の中で、わたしの手を握った。

 

ぎゅっと、手をつないで泳ぐ。

 

それから、

そろそろ上がろう、ってなって

プールの端で、ゴーグルの紐の長さを

元通りにしようといじる、はらぺこくん。

 

わたしは、その周りを、行ったり来たり

半円を描いて泳いだ。

 

黒い水泳帽子の、はらぺこくんの横顔。

 

「メガネがないんだね」

 

「ん?」

 

「プールだから。

 いつもは、メガネがあるじゃん」

 

「そうだね」

 

「あー、水泳帽子のはらぺこくん

 なんて、レアなんだー!

 写真撮りたかったな~」

 

 

 

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着替えて合流して、

近くのカフェでお茶をした。

 

 

はらぺこくんはフレンチトースト。

わたしはフルーツサンド。

 

はらぺこくんってば、

フレンチトーストにクリームもアイスものっているのに

さらに、メープルシロップをかけるんですよ。

 

「ちょっと痩せなきゃなあ」

って言いながら。

 

「はらぺこくんって

 冷たくて甘いものが大好きだよね。」

 

「うん」

 

「いっつもソフトクリームとか食べて

 ニコニコしてるよね」

 

それから、

「すっぱ~~~!」

って顔をしかめる。

 

フレンチトーストに添えてあったキウイが

すごくすっぱかった、って。

 

なんだか、笑っちゃう。

男の子みたいで。

 

窓の外の夏の風景、

夕暮れにかわっていくのを、ふたりで見てた。

 

 

 

手をつないで、ひと駅歩いて帰る。

 

駅でバイバイして、考える。

 

なんて楽しいプールの日。

 

はらぺこくんは、わたしのお父さんで

わたしの息子なんだろう。

 

わたしは、はらぺこくんの娘で

はらぺこくんのお母さん。

 

今年の夏は、まだ長い。

 

またプールで遊べるかな。

 

(おしまい)