久々の映画館 | Sleepy Scholar's Diary

Sleepy Scholar's Diary

冬眠が好きな傾向は一生続く模様だが、一応、起きて
いる時には世界にも色々反応を示していきたいもの。

写真が小さい場合はどうぞクリックを~!

教えている学校が映画館の近くにあるので、看板を

見ると、ついつい忙しいのにフラッと立ち寄りたくなった。

見たのは、ついこの間、アカデミー賞を受賞した

ばかりの『スラムドッグ$ミリオネア 』。400席ぐらいの

シアターの席が夕方ということもあり、全て埋まっていた。


そして・・・


満員のシアターでは映画を心底楽しめないことを

思い出したo(TωT ) 映画館での久々の鑑賞。

昔よく出かけていた時は、私、平日の昼間しか

行かなかった。まあ、学生の時の話だが。


あちこちで宣伝されているので、すでに誰もが映画の

ストーリーは知っているだろうが、この映画、

かなり重い内容だ。だが、人によって受け止め方が

違うのだろう。少なくとも、隣りの女性は違った。


おそらくは60歳前後のこのおばさま。映画が

始まるなり、私の横で笑いこけ始めた(ノ_-。)

スラムで少年たちが警察官に追いかけられる

場面だ。もちろん、暗い場面ではない。少年たちが

巧みに警官をかわすところなので笑おうと思えば

笑えるのかもしれないが、おばさまは手を叩いて

吉本歌劇でも見ているように笑う。


この点で、いや~な予感がしてきた。


そして・・・


私の予感は的中する。おばさま、少しでもおもしろ

おかしいところで、大げさに笑うのだ。笑っては

いけないのでは、と思えるところでも大笑い。その上、

途中で自分の感じたままに、「ジャマール、いけ~!」

などと叫んだりもする。叫びどころでない時に(ノ_・。)


彼女のおかげで、久々の映画館での鑑賞は失敗に

終わった。正直言って、始まったばかりの映画を

夕方に見に行く私が悪いのだが、アクションもの

でもないし、このようなメッセージ性のある映画は

DVD化されてから家で見るべきだった。


ついでに言えば、左横のお兄さまもよろしくなかった。

映画の最中に誰にメールをしていたのだか。携帯の

画面がピカピカして鬱陶しかった。睨んでみたものの、

それにも気付かないとは、彼女が相手だったのか??



■□■□■□■□■□


文句ばかりになってしまったが、映画自体は

アカデミー賞をとっただけあって、構成的にしっかりと

したものだった。クイズ番組・警察での取調べ・過去の

出来事が入り組んだ緻密なストーリーを通し、インドが

抱える問題を写し出している。


かつてはボンベイと呼ばれたムンバイ。IT産業で

飛躍中の都市だが、その新進産業による富に

取り残された貧しい人々の生活は困窮を極めている。

その中でも、イスラム教徒の立場はヒンズー教徒の

貧困層とは違う困難を持っており、昨年のムンバイでの

テロ事件なども、我々の記憶にも新しいところだ。


この映画がアカデミー賞に選ばれたという理由も

テロ事件が起こったことなど、政治的な動向が

作用していることは否定できない。9.11以降の

世界的な反イスラムの風潮に対する警告的な

メッセージも含んでいると言えるだろうし、その意味では、

今年だったから、この映画が8部門で賞をとることが

出来たと言えるかもしれない。


エンドロールでは、主題歌のJai Hoに合わせて、

出演者たちがボリウッド映画のノリで踊る。(もちろん、

隣りのおばさま、ノリノリで一緒に手足を動かしていた。)

この曲、ラジオで最近よくかかるので、気に入って

iPodに入れて私もジムでエクササイズしながら

聞いていたのだが、映画の終わりでこれを聞くと、

正直なところこの楽しいリズムが切なく聞こえた。

ボリウッド風の踊りも何だか悲しかった。


主人公のジャマールは最終的には大金を手にし、

ずっと離れ離れだった運命の女性ラティカとも

一緒にはなれるのだが、彼の兄は命を落とし、

ラティカの顔にも癒えることのない傷がついたまま。

そして、彼らの生きてきたスラム街がなくなるわけ

ではない。テンポの速いダンス音楽の軽快さとは

裏腹に、見る側には重い現実がつきつけられて

いるエンディングだった。


何も解決されない、この重苦しい後味。これこそが

2009年のアカデミー賞が評価したところかもしれない。


ちなみに、イギリス生まれの俳優も含まれている

ので当たり前かもしれないが、皆がインドなまりの

激しくない英語だったのが印象的だった。これが

ムンバイの国際化を象徴しているのか、などと

いうのは考え過ぎ??