このところ、読み終わらないと眠れない、というぐらい興味を
そそられる本になかなか出会うことがなかったが、久々に
その一冊に出会った。新潮新書の『自爆テロリストの正体』だ。
著者がフランスに長かったこともあり、話がフランス・ベルギーの
周辺に集中して、イスラエルやアジア諸国内の自爆テロリストにまで
考察されていないのは残念だが、ヨーロッパ生まれの普通の青年たちが、
自分のアイデンティティを模索する中でイスラム教と出会い、そのうちに
テロ組織に勧誘されていく、という仕組みが明瞭に説明された本で、
なかなか説得力がある。特に、日本のオウム真理教と比較されている
点で、日本人にも分かりやすい論点が提供されている。
テロ犯罪について(詳しくいえば、イスラム原理主義のテロ犯罪に
ついて)基本的な知識を得たいと思っている人には、ぜひ、この本を
お薦めしたい。すでに深いところまで知っている読者には物足りない
感があるかもしれないが、新しい視点を提供してくれることは間違いない。
