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エルディ「そのとおり!」



一同「エルディ!」



エルディ

「街全体を盗むなんてことは、到底、無理だ。



私の負けだ。



少年探偵団よ。さすがだな…。



私はこれをきっかけに悪事を働くことはやめ、まじめに仕事をしようと思う。


そうだな。花が好きだから、花屋にでもなるとしようかな…。



それじゃあな。」



怪盗エルディは、そう言うと出口へ向かう。


そして、ドアに手をかけたところで、ゆっくりとふり返った。


エルディ

「だが、忘れるな!怪盗エルディはいなくなっても地震の悪魔エル・ディアブロの存在を…。 それじゃ!」


そこまで言うと素早い動きでドアの向こうに消えていった。



我に返ったコタローが外に出て行くエルディを追いかけようとする。

そんなコタローに団長が優しく声をかける。


レオ

「コタロー。もう追いかけるな。盗むものがなくなって、エルディも意気消沈しているようだ。

これからは悪事を働くこともないだろう…だが、最後にエルディが言ったことを忘れないようにな!


今回、怪盗エルディの名前は地震を起こす悪魔『エル・ディアブロ』から連想させたもののようだったが…


我々のしてきたことは、怪盗エルディを捕まえることを目的にするのと同時に…地図を配ることで地震による被害から街の人たちを守っていこうというものだった。


怪盗エルディとの戦いは、結果的には地震を起こす悪魔:エルディアブロとの戦いだったとも言える。」



井桁博士

「エル・ディアブロは、地底の奥深くにいて、我々は手を出すことができないのです。


セーフティネットワーク探偵団にできることは、地震が起きても渋谷にいるみんなが安全に、パニックになることがないようにしっかりと準備をしておくことなんです。そのために…この地図はとても役立ちます!」



レオ

「地震の悪魔エルディアブロも我々が油断せずにしっかりと備えていれば、決して怖いものではないはずだ!


怪盗エルディという大泥棒がいたことや地震の悪魔エルディアブロの存在を忘れずに、セーフティネットワーク少年探偵団の使命は、いつ地震が起きても大丈夫なように準備しておくこと、お互いに助け合えるようにいつでもまわりの人に気を配ることだ!


だから…もし、まわりに油断している人がいるようなら、そっと「エルディが来るよ」って、伝えてあげることだ!


油断していれば大事なものを怪盗エルディ、いや悪魔エル・ディアブロが持って行ってしまうということだからね…



それでは、少年探偵団はここで一旦解散することにする。しかし、また、いつ怪盗エルディが現れるかも知れない。いつ召集命令があっても大丈夫なように準備を忘れるな。


では、さらばだ!」


団長はそこまで話すと部屋を出て行った。続いて、他の探偵メンバーも出て行く…



部屋には、少年探偵達とみずきだけが残った。


みずき

「少年探偵のみなさん、大変な任務を完了しましたね。子どもでもおとなを助けることができる、そのためにできることがあることが証明されたとも言えますね!


渋谷の街を守るのは、この大切な宝物を守るのは、私たちおとなだけでなく、みなさんのような子どもでもできるのですね。


団長が言っていたようにみなさんの任務はずっと続いていきます。自分を大事にすることと同じくらいに他の人のことも大切にし、お互いに助け合うこと、そのことを忘れずにこれからもがんばっていってください。


それではまたお会いしましょう!」



END

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【解説】

この取り組みは、東京消防庁の「地域の防火防災功労賞における防災部門の優秀賞」に選出されました!


2007年の夏から秋にかけて行った防災企画『怪盗エルディと少年探偵団』は、ほんとうにたくさんの人々の協力を得て成功裏に終わりました。この企画を成功させるために多くの時間と労力を費やしましたが、やって良かったと強く感じる、そんな企画でした。


当時の神南小学校の校長先生の一言、「去年と同じ企画じゃつまらないから、何か新しいこと考えてきなさいよ」から始まり、担当の先生の言葉「子ども達は冒険に出たがっているんです。」をヒントに多くの試行錯誤を経て、途中で何度もストーリーに変更を加えつつ、なんとかシナリオを創り上げたのでした。


この企画を通して、僕自身、いろんなことを考えました。なぜ自分はこれほどまでに情熱を注ぐことができたのだろうか?なぜ、多くの人を巻き込むことが出来たのだろうか?なぜ、子ども達は夢中になってくれたのだろうか?


そこにあったのは揺るぎない信念でした。


巨大地震はいつ起こるか分からない…次の瞬間に起こるかも知れないし、10年後なのかも知れない…転ばぬ先の杖は大事だけれど、巨大地震の恐ろしさを知らない人にとって、なかなか動くことができないことも確かなようです。


おそらく、今、都心部で巨大地震が発生すれば、大きな被害は避けられないでしょう。


しかし、その後、被災地の人たちがお互いに助け合うことができれば、その後の2次被害を最小限に抑えることができるはずです。


その結果、助かる命もかなり多くなることでしょう。このことは阪神淡路大震災のときに証明されました。当時、要救助者の8割が近隣の人によって助け出されたということです。


だからこそ、今よりももっと人が人を思いやり、助け合う、そんな人たちが暮らす街を創らなければならない!でも、ある日突然、街が変わる、多くの人々のこころが変わるということは有り得ない。ゆっくりとじっくりと時間をかけて、地道な取り組みを続けることによって少ずつ少しずつ人のこころを変えていくことが大切です。


その手段の一つとして、この企画を行いました。街を愛する気持ちを…共助の精神を…この企画を通じて少しでも高めることができるはず!と強い信念を持ったのでした。


今から20年後にもし巨大地震が発生して渋谷の街が大混乱に陥ったとき、己を省みず、他人を助ける動きができる人々は、そのときに30代、40代になっている世代…社会の若きリーダー達です。


それは今の子ども達の20年後の姿です。この少年探偵団企画を体験した子ども達がおとなになった頃、チカラを合わせて今よりももっと街を繁栄させている…そんな未来を夢見ていたのでしょうね。



いつかこの企画を必要とする誰かの為に…ここに書かせていただきました。


かなり長いシナリオとなってしまい、また読みにくいところも多々あったことと思います。

ここまでお読みいただいた方、本当にありがとうございました!