神社を守っている長女の家を久し振りに訪れたら、『皇室』(扶桑社)と題する
立派な季刊発行の写真集が卓上に置かれていた。手に取って開いてみたところ、 天皇皇后の散策の姿がトップにあって、次のページは秋篠宮一家、そして最後が皇太子一家の写真であった。「おかしい、なぜ皇太子が後なのか」と私は義憤を 覚えた。思わず厳しい口調になって直系尊重の女帝論を繰り広げたところ、長女
は反論してきた。さらに私が、
「宮内庁は完全に国民の総意を無視して、自分が機関車になっている。
あれは官僚支配の源流だ」
と言ったのに対しても反論。
「それは違う。宮内庁だけは国家公務員試験と無関係な別枠採用だから、
それはあり得ない」
「いや、私に言わせれば、別枠採用つまりコネだからこそ、国民の意思から
離れた官僚組織を作る原因になっているのだ」
双方とも頑として譲らなかった。戦争に明け暮れた大日本帝国時代を知らない
長女には、ことの重大性がどうしても理解できないらしい。それ以来、私の足は
長女の家から遠ざかってしまった。
そのとき長女に言いたかったことを、今ここに書くことにしよう。
よく考えてみるがいい。先進国の中で日本のように女性蔑視が強くて、女性に
活躍の場を与えない国は他にない。いまや中進国や発展途上国にさえ
追い抜かされ ている状況だ。女性の能力を活用しないということは、国の能力を
半減させることになる。男系尊重の天皇制が、女性蔑視の原因を作っている
ということに気づ
いて欲しい。
それにしても、国家公務員の中で宮内庁だけが別枠採用とは、民主主義に
反するではないか。コネは質の低下を招き、民主化を阻むもとになりかねない。
ともあれ、神主宅で写真集を見かけたことによって私は、
天皇制と神道との関わりの深さを知った。
また、写真の掲載順位の不自然さによって、
天皇制の黒幕の存在を意識させられたのである。
昭和天皇が他界されたとき、宮内庁職員の総入れ替えがあった
と言われている。天皇の代替わりと共に、日本が右傾化したことと関連が
あるのではないか、と私は思う。