⇒前回の話
貴子が猛ダッシュで部屋を出ていった。
その表情は何かにとりつかれているようだった。
すぐさま翔子が後を追い、莉多子とM田も続いた。
貴子はダッと階段を駆け上がると、ハブの部屋へと入っていった。
翔子がドアを開けようとするも、鍵がかけられている。
「莉多子さん、部屋の合鍵はある?」
「管理人室にあるので、今すぐ取ってくるわ!」
莉多子が急いで鍵を取りに行った。
その間、翔子はドア越しに貴子を説得し始めた。
「貴子さん、馬鹿な真似はやめて。今すぐドアを開けて!」
しかし、ドアは全く開く気配がない。
数分後、息を切らしながら、莉多子が戻ってきた。
「翔子さん、これ、合い鍵・・・」
翔子がサッと鍵を受け取り、鍵穴に差しこむ。
カチリと音がして、ドアが開いた。
部屋に足を踏み入れた3人は呆然と立ち尽くす。
和歌子の死体に覆いかぶさるようにして、貴子が倒れていた。
翔子がすぐさま脈をとり、ため息をつきながら首を左右に振った。
「あぁ、なんてこと・・・」
莉多子はくらくらと立ち眩みがした。
すべて夢であってほしい。
貴子と和歌子は、莉多子の目には仲の良い双子姉妹として映っていた。
性格は正反対だったけど、お互いを意識したよきライバルだと思っていた。
私は全然、二人のことを理解できていなかった。
涙がツーと頬を伝う。
「犯人の自殺を防げなかったなんて、私、刑事失格ね・・・。これで事件の真相は藪の中だわ・・・」
翔子も激しく落ち込んだ様子だ。
「でも、これで事件が解決したのですから。もうこれ以上、被害者が出ないと知って一安心です」
M田が2人を慰めた。
「だけど、こんな大それたこと、本当に貴子さんが一人で計画したのかしら。私、今でも信じられない・・・」
莉多子が放心状態で、ぽつりとつぶやいた。
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