⇒前回の話
和歌子が部屋に入ると、大きなダブルベッドが目に飛び込んできた。
ベッドに腰をかけるクス男。
「ここ、隣座って。ちょうど今始まったばかりだよ」
和歌子は警戒しながら、クス男と少し距離をあけてベッドに座った。
アニメのオープニング曲が終わり、いったんCMへ。
「今日はいよいよ、外来種のカッパと対決する日ね。ドキドキワクワクするわ
」
「和歌子さんはUMA2のキャラで誰が一番好き?」
「もちろん、主役のイエティよ。めちゃくちゃ強くて、カッコイイわ!」
「やっぱ、イエティは人気あるんだね」
「クス男さんは誰が好きなの?」
「そりゃあ、リカティだよ。リカティには男のロマンが詰まっている」
「リカティ、見た目がエロ可愛いもんね。UMA2の人気投票でもダントツ1位だし」
「和歌子さん、UMA2のコスプレが得意だって言ってたよね。リカティのコスプレもするの?」
「まあねー」
「マジで!今度見てみたい!」
「今度、機会があればね」
ゴォ~~、ゴゴゴゴゴゴゴォ~
暴風が窓をガタガタと鳴らし、和歌子はビクッとした。
「すごい風ね…」
「かなり吹雪いているぞ。これからUMA2が始まるのに、停電になったら困るなぁ…」
「まさにリカティが現れそうな夜ね」
「そういえばさっき、おっさん達がリカティを見たって騒いでたぞ」
「本当にいるかもしれないわね」
「俺も会ってみたいよ」
CMが終わり、いよいよアニメ本編がスタート。
二人とも急に無言になり、テレビに釘付けに。
外来種のカッパに支配されていた河童の村に
イエティとリカティがやってきて、敵を次々と倒していく。
遂に、カッパの王が登場!
イエティが秘技「ミラクルブリザード」を繰り出し、
リカティが「ブレブレマジック」で敵を錯乱状態に!
カッパ王の動きを封じ込め、氷の刃でとどめを刺すイエティ。
かくして、河童の村に平和が訪れた。
「ありがとう、イエティ&リカティ」
喜ぶ河童たち。
そこへ現れた河童仙人。
「イエティ、リカティ、よくぞ我が村を救ってくれた。しかし、隣の村ではラムダと呼ばれる魔物が悪さをしておる。世界平和のために、まだまだ二人の力が必要だ」
「わかりました、次はラムダ退治に向かいます!」
「また、敵はどんどん強力に変異していくので気をつけることじゃ。世界各地に散らばる敵を倒すためには、秘薬ワクティンを手に入れろ!女神アマビエを訪ねれば、力になってくれるだろう」
「はい!アマビエ様に会って、必ずワクティンを手に入れてみせます!」
次なる魔物退治と秘薬探しの旅に出るイエティ&リカティであった。
つづく
「あー、今週もいいところで終わっちゃったー。続きが待ち遠しいなーー」
クス男がスッと距離を詰めてきて、さりげなく和歌子の肩に手を回す。
「和歌子さん、うなじがキレイだね。お、こんなところにホクロ発見。俺、うなじにホクロのある女性が好きなんだ」
「やめてよ。恥ずかしい~」
照れる和歌子のアゴをクイっと持ち上げ、顔を近づけてきたクス男。
せっかく、ここまで来たのだもの。
このまま、流れに任せて・・・
思い出に残る、ロマンティックな夜を・・・
目を閉じかけた瞬間、先ほどの翔子の言葉が脳内にリフレインし、ハッと我に返る。
和歌子はとっさに、クス男の唇を手でガードした。
「何、どうしたの?」
怪訝そうな顔をするクス男。
「ねぇ、クス男さん、本当に独身なの?」
「えっ、当たり前だろ。どうしたの急に?」
「だってさっき、クス男さんは既婚だって教えてくれた人がいたから」
クス男はチッと舌打ちした。
翔子め、余計なことを言いやがって。
「翔子の言うことは全部ウソだよ。実は俺、あの女からストーカーされていて困っているんだ。まさかこんなところまで追ってくるなんて、思ってもみなかったよ」
「えっ、そうなの・・・。じゃあ莉多子さんが言ってた人って、翔子さんのことだったのかしら?」
「え、何のこと?」
「いえ。あ、そうだ私、これから用事があったんだった!UMA2を見終わったし、もう帰るわね」
「あ、うん・・・」
そそくさと部屋を出ていく和歌子。
危なかったー。
でも、クス男さんが既婚者なんてやっぱデマよね。
私は貴子と違って、男を見る目があるんだから!
部屋に一人残されたクス男は舌打ちした。
クソッ、あともうちょっとだったのに!
まぁ、焦る必要はない。
お楽しみはこれからだ。
クス男はニヤっとほくそ笑んだ。





