の続きです下矢印





さて、緊急事態宣言が再度発令されました。
そんな中、コロナ病床数が足らないことについて、世間からは「この1年何やってたの?」との声を頂いています。
病院としての回答といたしましては、
『延期していた症例の治療や検査を順番にこなしていました』
『通常業務もこなしながら、一日もコロナの事を忘れずに着々と準備していました』

◆『延期していた症例の治療や検査を順番にこなしていました』

春頃はとにかく物品が足りませんでした。その為、緊急性がない手術や検査は全て延期となりました。 
(ちなみに自粛も今よりされていた為、診察も含めて自ら延期された患者さんも多かったです)
このせいで当時は閑古鳥が鳴いていた科も、今は大忙しとなっています。
やらねばならぬ症例はかなり溜まっています。
病気によっては、早く処置せねば進行してしまうものもあるので、優先順位をつけながら消化している最中です。(と書いている最中にも、行政から「医師が今すぐ必要と判断した以外の手術や入院は延期してください」と依頼がきました)

◆『通常業務もこなしながら、一日もコロナの事を忘れずに着々と準備していました』

・病院が物を買うということについて
コロナの受入をしてる病院は私営より、公的な病院さんが多いと思います。(行政からの要請は、まず公的病院へ依頼されます)
となると、病院は自由に物を買うことができません。正しくお金を使わなければならないからです。(私は私立病院や個人病院のルールについては存じ上げておりません)
医療機器みたく高いものになると、大半が入札か政府調達になります。
入札となると最低でも10日の入札公告が必要、その後入札、落札業者が決定。政府調達の場合は最低でも2ヶ月ほどかかります。

落札してようやく発注できるわけですが、発注するまでだけにこれだけかかってしまうということです。
ちなみに物に限らず工事も同様の方式をとります。


・物の供給について
医療機器というのは元々国外メーカーの物も多いです。
コロナ禍以前から国外メーカーの物に支えられて私たちの医療は成り立っていました。
国内も国外も頑張って増産はしていますが、精密機器かつ技術が必要なので、マスクのように供給を追い付かせることは難しいです。

今現在、「全世界でコロナパンデミックが起きています」
では数が足りない事に対してどう対応するのか。
国外メーカーですから、自国や自国に近い国、もしくは感染者が爆発的に増えている国に優先して納品します。
日本は諸外国ほどパンデミックを起こしている�わけでないので、優先順位は低いと言われています。

日本にも入っては来ますが、病院同士の取り合いとなります。(病院に出入りしているディーラーさんの腕次第)

上記の理由にて、納期だけで4~6ヶ月程かかる物も多く、夏頃に発注してもまだ納品されてない物もざらにあります。

また、例えば体温計などの小さい医療機器もですが、臨床現場で使用するにはきちんとした医療機器メーカーの物しか使えません。一見、ネット上などで流通が回復したように見えたとしても、それらは信頼があるメーカーの物ではない事も多いので、購入には至らない、ということもあります。


ようするに、
欲しい!発注!納品!
とはすんなりいかないのが現状です。
緊急事態であるため、入札などの手間がかかる方式を省けたとしても、結局納品に時間がかかってしまうのは変わりありません。


・購入するタイミングについて
至急購入しなければならない物については、状況考えず購入します。
が、基本的には病院は赤字なので、『行政の補助金の申請が通ったこと』を基準に購入手続きに移ります。
申請が通る前に見切り発車で高額機器を購入してしまい、お金がおりないとなると痛手ですから。
補助金の種類によって申請時期は変わるので、病院側も常時動いてる状況ではありますが、役所も非常に細かく審査しているようなので、結果がおりるまで時間はかかります。大切な税金を出すのですから、当然といえば当然です。


・補助金の申請の時期や審査がおりるまでかかる時間は、自治体によっても変わります。早い県もあれば遅い県もあるようです。

・また、補助金には「○月○日までに整備してね。過ぎるとお金は出さないよ」という種類の物もありますので、申請許可がおりたタイミングと納期の都合を合わせて考えたときに、購入の必要があっても購入を諦めざるを得ない物もあります。

・補助金は「申請が通った」「購入した物が納品された」「工事をした」だけでは終わりではありません。補助金を出してくれる行政への事後報告や、保健局への医療法関係の許可申請(レントゲン機器を買ったり、病室の工事をしても報告せずには使用できません。扉の大きさが変わってほんの数cm面積が変更になったり、部屋の使用目的が変わっただけで許可がいるのです)が必要です。


◆まとめ
想像してるほどすんなりとはいかない世界というのが見えてきたのではないでしょうか。
また、こんなに物が手に入らず、人手も足りない、設備環境も整えきれない中、コロナ専用病院や病床を早いスピードで増やすということはなかなか困難です。


今回の新型コロナが非常に恐ろしく苦しい原因は
『全世界同時多発的にパンデミックを起こした』ことだと思います。
局地的であれば、物は行き届きますし、人も派遣させられます。重症化してしまったコロナ重症患者や新規発症者、その他の一般疾患の患者も、余裕のある他の地域に分散させて、ひたすらたまる累積を少しでも和らげることもできたかもしれません。
物も人も世界の余裕もない。
ないない尽くしのなかで最善を尽くすしかないのです。