(42)PTSDの権威(とはいえオリジナルな臨床研究業績はない)JSTSS金吉晴の目的
金吉晴がなぜ世間の反発覚悟で歌織容疑者を鑑定してPTSD無罪を主張したのか(もちろん光市の事件と違い加害者が若く美しく被害者がDV加害者だから加害者を憎みきれない人が多数いることは計算してでしょう)?金吉晴は昨年の高知での103回日本精神神経学会総会には出席せずPTSD演題すら貧弱なものが2例/300例中しかありませんでした。今年は当然のようにPTSD関連のみで1シンポジウムを開き、彼が話すのは「原爆被爆者とPTSD」です。彼は私の2006年論文「東京大空襲被災と広島原子爆弾被爆の両方を経験し複雑性PTSDを呈した一例」(広島医学)の存在を知らないのでしょうか?PTSDの薬物療法に触れる「心的外傷体験を伴う解離性の幻覚妄想にパロキセチン単剤が著効した一例」がわたしの今年の演題ですが、日本PTSD学会(JSTSS)は世界最多の私のPTSD薬物療法報告論文を知らないかのように薬物療法の無効を宣言しました。そもそも私の私的な研究と違い政府が正式にPTSDの薬物療法の研究を任せていた研究機関はどこだったのでしょう?その機関は今何をしているのでしょう?バラバラに見える全ての事象がその一点に収斂してくるのです。もちろん何の成果もみられないうつ病対策も無関係ではありません。
(41)セレブ妻バラバラ事件歌織被告(DVでPTSD)と鑑定医金吉晴(JSTSS初代会長)
鑑定結果は無視され有罪となりましたが金吉晴の目的は十分に達成されたと思われます。世間の人は犯罪行為を犯した精神障害の病名が統合失調症(最近は激減しました)、人格障害、発達障害、多重人格なら慣れていますが、PTSDで無罪という文脈には慣れていません。この点では私と金吉晴の意見に違いはあまりありません。比率ではごくわずかでも最近犯罪行為を犯す精神障害のほぼ全てが ヒステリー(PTSD、解離性障害、多重人格、発達障害、人格障害)でありうつ病のほぼ全てがPTSDでありうつ病は消滅したし全く異なる病(これは私の主張)ということです。しかし金吉晴の目的は被告の無罪を勝ち取るためでなく別のところにあると思われます。
(40)そもそも精神安定剤の基本的な使用法が マスターできていない日本の精神医療
三環系、ブチロフェノン系(ハロペリドール)という旧型抗うつ薬、抗精神病薬の時から必ず複数剤処方するという世界最低の薬物療法が慢性化していたわが国の精神医療において、この五年くらいでSSRI、SDAという新型が一気に発売され大混乱となっている。特に三十万人の入院患者への多量のハロペリドール処方は遅発性ジスキネジア(口周囲が勝手に動き出す)という神経障害を引き起こすのが確実とわかり、国と学会が臨床医の尻を叩いたが何年たっても世界で日本だけ五割しか変換がなされていない。自分は元々単剤処方を貫いていた上に、ほとんどが統合失調症に似たPTSD患者である長期入院患者の特性とSDAがハロペリドールより複雑にPTSDに作用するという特性 をふまえ、この数年で百人の患者の九割以上の薬剤をSDAに変換した。
(39)オーストラリア大陸の動物とPTSD患者の類似
オーストラリアの動物は基本的にみな有袋類(カンガルー) でねずみに似たカンガルー、狼に似たカンガルーみたいなのしかいない。今の精神医療現場にはうつ病に似たPTSD、統合失調症に似たPTSD、認知症に似たPTSD(認知症だけはかって本物が多かったがなぜか逆転した)、発達障害とレッテル貼られたPTSDしかいない。だから抗うつ薬、抗精神病薬(こういった分類と名称そのものが間違っている)、抗認知症薬(これだけは正解)が効いた症例がさっぱり消滅し、リタリンなんて覚醒剤が乱処方されたのです。
(38)精神保健無策が悲惨な事件を引き起こす
光市事件でいえば母親が自殺した時点で少年が成人するまで行政、医療が継続し てホローすれば防げたし 、セレブ妻事件は婚姻届け時にDV講習を義務づけるとか手はいくらでもある。建設工事をすることだけが自己目的化している自民党政権が人も金も回さないだけである。
(37)人格解離状態の犯罪行為は複雑なことができる
今はまれな統合失調症患者の犯罪行為は思考の混乱がベースにあるから衝動的、短時間の行動です。朝日新聞の光市事件犯人の証言は「裁かれている自分が自分ではなかったようである」と述べています。犯行時にも人格の解離が起きていたのでしょう。
(36)精神障害者の犯罪発生率は健康者より低いのは常識 されど
長く精神科専門病院 に勤務していますが病院内はむしろ安全です。健康者を同数収容したらすぐさま暴動が起きるでしょう。しかし少数でも精神障害者の犯罪は普通と論理構造が異なるために強い違和感を感じさせます。セレブ妻事件のように、発病まで普通の生活をしていた日本女性が遺体をばらばらにできるでしょうか。医師は職業として長期間かけて遺体をバラバラにする訓練を受けていますが(職業的犯罪者も同じ経験を重ねているでしょう)、わたしはあんなことできません。人格が解離した多重人格状態だからあんなことができたのです。
(35)chico1212 さんへのコメント返し 精神障害≠犯罪
chico1212 さんは「精神障害者全部または高率=憎むべき犯罪を犯す」と理解されたようですが、「極く一部」の精神障害者による「犯罪類似行為」=病的症状=強制治療対象≠死刑を含む処罰 であり 通常犯罪=死刑を含む処罰、更生教育です。前にも述べたように「犯罪」とは楽して得する行為ですが精神障害者は全然得してないから「犯罪的行為」(被害者はいます)なのです。
(34)精神障害(PTSD)犯罪 を「裁く」意義
残念ながら現在起きているほとんどがPTSD(人格障害傾向が強いまたは多重人格傾向の強い)患者による精神障害犯罪を裁くべきか(ちなみにごくわずかな本物の統合失調症患者はほとんど犯罪傾向はないのにPTSD患者と自らを同一視して苦しんでいる)?一律死刑にするならそれでけりかもしれないが、有期刑なら例え何十年刑務所に入っても無意味である。アルコール依存症を刑務所に入れていた過去が世界中で全否定されたのと同じ理由。監禁だけしても治らない。軽微なPTSD患者の犯罪行為を初犯で犯罪として裁き、治療しないことは間違いなく重大犯罪につながる道である。
(33)PTSDが治療できない医師が診断する人格障害、発達障害(アスペルガーという病名のむなしさ
一時従来の統合失調症とうつ病の二元論で理解できない多様な形態のPTSDを理解するのに人格障害、発達障害(アスペルガー)という概念が精神科医 の間に流行ったが、遺伝的であり治療不能・治療不要という都合のいい説明はやる気のない精神科医にニヒリズムを蔓延させただけで、かえって聞かなくなった。遺伝的だが治療可能なはずのうつ病(と誤診されているPTSD)も全然治せないのに、さらに切り捨てる精神障害のフィールドを増やすことにより、自己の存在理由そのものを見失ったからだろう。