今、目の前にいる子供の態度や言動。

それは、ほんとうにその子供自身なのでしょうか?



私の日常の仕事場は、高校と大学です。

高校では音楽教師として、授業を行います。

育みたいのは、生徒が自分を信じて進む力と、積極的なコミュニケーション能力。


毎回の授業の終わりは「まとめと感想」を生徒に書いてもらい、必ずひとりひとりに返事を書いています。

一週間でみると、のべ450人に返事を書いている計算になります。


これを毎回書いてもらう理由は3つあります。

ひとつは、生徒が自分の記憶をたどり、自分の感情に気づき、言葉にする習慣をつけるため。

もうひとつは、生徒が授業をどの程度理解してどう感じたか、私自身が知るため。

そして、生徒と私のコミュニケーションのためにです。




さて。

この一回目の感想に、小さくドラえもんの顔だけを描いた男子生徒がいました。

「おお~~!」と思って、私はそれに花丸をつけました。

その後は、「つまんねー」とか、「つかれた」とか、何も書かないとか。

多くの生徒が涙を流した、感動の鑑賞作品にも、「はいはい、こんなの無能だよ」とか。

一年近くそういうことばかりでしたけど、毎回私なりに彼に返事を書きました。

「つまんねー」と言える心、何も書かない心も、普通に受け止めたいと思って。

「こんなの無能だよ」には、「その批判精神、大事にしてください!」と返事を書きました。

本心で、そう思うからです。^^


一年が終わる頃、驚きました。

いつもは殴り書きの彼が、これまで見たことのないような丁寧な文字で、とても真面目な、とても誠実な感想を、理路整然と、びっしりと書いていたのです。


おもてに現れている顔、おもてに現れているコミュニケーションの形は、人のほんのほんのわずかな側面でしかない。


この時ほど、それを思ったことはありませんでした。


何かの原因で心に鍵がかかっていたとしても、はたらきかければ、それがほどける時が来るのだと。


目の前にいる相手と、コミュニケ—ションを続けていきたいと思います。



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