滋賀県で
「この辺で、本当においしいお蕎麦ってどこ?」
と探している方がいたら、
私はここを思い出します。
ここね。
今回の旅行中に初めて伺ったのですが、
私はもう一度食べに行きたい。
旅先のお店って、
「おいしかったね」で終わるところも多いじゃないですか。
でもここは、帰ってきてからも
蕎麦の味を思い出す。
それって結構すごいことだと思う。
滋賀・甲賀で見つけた予約必須の蕎麦店
場所は滋賀県甲賀市。
新名神高速道路の甲南ICから車で約10分ほどなので、
滋賀を車で旅行している方にも立ち寄りやすい場所です。
ただし。
ここは予約してから行くお店。
「近くまで来たから、ちょっと蕎麦でも」
というノリで行くより、
きちんと予約をしてから訪れるのがおすすめです。
店内の案内にも「ご予約制」と書かれており、
予約はおおむね1週間ほど前から受付。
ご高齢のご夫婦お二人で営まれているため、
1組4名まで、食事時間は予約時間から80分以内などのお願いがあります。
そしてもう一つ特徴的なのが、
18歳以上限定。
小さな子どもお断りの高級店、という感じではありません。
ご夫婦お二人で、
蕎麦を一番おいしい状態で丁寧に提供するための仕組みなんだと思います。
実際に伺ってみると、
堅苦しさよりもむしろ、
「蕎麦が好きで、好きで、こんなお店になっちゃったんでしょうね」
という温かさを感じるお店でした。
今回いただいた「愉しみミニコース」
今回いただいたのは、
この店には天ぷらが主役の豪華御膳もなければ、
海老天ドーン!みたいな派手さもありません。
というか、
蕎麦を食べに来たなら蕎麦を食べなさい。
と言わんばかり(笑)。
潔い。
でも、これがいいんです。
蕎麦という一つの素材が、
こんなにいろいろな料理になるのかと驚きました。
まずは「蕎麦の刺身」という初体験
最初に出てきたのが、こちら。
見た瞬間、
「生八ツ橋?」
と思いました(笑)。
もちろん違います。
板状にした蕎麦を一晩寝かせ、
それをいただく「蕎麦の刺身」。
大根と一緒に、
わさびと生醤油でいただきます。
そもそも私、
蕎麦を「刺身」で食べるという発想がありませんでした。
だからもう最初から、
知らない蕎麦の世界に連れて行かれた感じ。
こういう「初めて」が旅先にあると嬉しいんですよね。
粗挽きの十割蕎麦は、喉越しではなく「噛んで食べる」
そして主役のもり蕎麦。
福井県産の玄蕎麦を使い、
お店で石臼挽きして自家製粉。
つなぎを使わず、
水だけで打った十割蕎麦です。
見てください、この麺。
ツルン、ピカーン、均一!
……ではありません。
少し太めで、短めで、表情も不揃い。
黒っぽい蕎麦の粒も見えます。
だけど、そこがいい。
これは、
「喉越し最高!」と
ズズズッと飲み込む蕎麦ではありません。
ちゃんと噛む。
噛んでいるうちに、
蕎麦そのものの香りと甘みが出てきます。
ああ、蕎麦って麺料理じゃなくて、
穀物なんだなと改めて感じる。
あ、ちなみに大盛にしました(笑)
そして衝撃。「まず岩塩で食べてください」
私が今回、特に気に入ったのがこれです。
テーブルには岩塩が置かれていて、
「まず塩で食べてみてください」
とすすめられました。
え?
蕎麦を塩?
もちろん蕎麦通の方なら珍しくないのでしょうが、
私はちゃんとこうして味わったのは初めて。
で、食べてみたら、
これ、おいしい。
ほんの少し岩塩をつけるだけで、
蕎麦の甘みがグッと前に出るんです。
つゆがおいしい蕎麦屋さんはたくさんある。
でも、つゆより先に蕎麦そのものを食べたくなるというのは、
私にはなかなかない経験でした。
もちろんつけ汁でもいただきました。
それはそれでおいしい。
でも私は、
岩塩で食べた十割蕎麦の味が忘れられない。
蕎麦湯まで普通じゃありません
さらに驚いたのが蕎麦湯。
普通は蕎麦を茹でたあとの茹で汁をいただきますよね。
こちらでは、
蕎麦湯のために蕎麦粉から別に作っているそうです。
朝から挽いた蕎麦粉を水から温め、
おいしい状態で提供してくださいます。
写真でもわかると思いますが、
かなり白くて、とろっとしています。
もはや蕎麦湯というより、
「飲む蕎麦」
みたい。
私はつゆをたっぷり混ぜるより、
そのままの優しい味を楽しむほうが好きでした。
そばがきで、さらに驚く
そして、そばがき。
これも今まで食べてきたものとは印象が違いました。
粗挽きの粒感が残った、むっちりしたそばがき。
中央には煎った蕎麦の実がのっていて、
食感と香ばしさのアクセントになります。
わさび醤油だけでなく、
きな粉でもいただく。
塩を少しつけてもいい。
食べ方を変えるたびに味が変わるので、
単調にならないんです。
同じ蕎麦粉なのに。
ここまで来ると、
蕎麦屋というより蕎麦の研究所(笑)。
最後のぜんざいまで蕎麦
最後は生粉焼ぜんざい。
温かいものと冷たいものから選べます。
上にのっている、春巻きのような細長いもの。
これも蕎麦です。
蕎麦粉で作った「生粉焼き」で、
中は空洞。
パリパリと崩しながらぜんざいと一緒にいただきます。
さらに香ばしく焦がした粗挽き蕎麦も。
甘さ控えめの小豆と、蕎麦の香ばしさ。
これがまたおいしい。
最初から最後まで蕎麦なのに、
全然「また蕎麦?」にならないんです。
むしろ、
「次はどんな蕎麦が来るの?」
と楽しみになってくる。
東京から通う常連さんが「ここが一番」と言っていた
そして、この日。
常連さんらしきお客さまと少しお話する機会がありました。
東京から来ている方もいらして、
いろいろなお蕎麦屋さんを食べ歩いているそう。
そんな方が、
いろいろ食べたけれど、
やっぱりここがナンバーワン。
とおっしゃっていたのが印象的でした。
東京からわざわざ滋賀まで蕎麦を食べに来る。
食い意地というものは、
距離の概念を簡単に破壊します(笑)。
でも今回食べてみて、
ちょっとわかる気がしました。
「有名だから」とか、
「映えるから」とかじゃない。
また、あの蕎麦を食べたい。
それだけなんですよね。
ご主人と奥様のお人柄まで含めて「作美」
そして料理だけじゃなく、
ご主人と奥様の接客もとても印象に残りました。
お料理が運ばれてくるたびに、
「これはこういう蕎麦です」
「まずこうして食べてみてください」
と、丁寧に教えてくださいます。
でも決して押しつけがましくない。
蕎麦のウンチクで客を殴ってくるタイプでもない(笑)。
とても謙虚で、穏やか。
そして説明を聞いていると、
「ああ、このご夫婦、本当に蕎麦が好きなんだな」
と伝わってくるんです。
だからこちらも自然と、
一口ずつ丁寧に食べたくなる。
滋賀でおいしい蕎麦を探しているなら、覚えておいてほしい店
今回、私にとっては初めての体験ばかりでした。
蕎麦の刺身。
岩塩で味わう粗挽き十割蕎麦。
蕎麦粉から作る濃厚な蕎麦湯。
そばがき。
そして生粉焼ぜんざい。
全部、蕎麦。
なのに全部、違う。
私はこれまでにもお蕎麦はたくさん食べてきましたが、
「蕎麦ってこんな食べ物だったんだ」
と思わせてもらったのは初めてかもしれません。
滋賀県甲賀市や甲南IC周辺で、
おいしい蕎麦、十割蕎麦、ちょっと特別なランチを探している方。
そして何より、
本当に蕎麦が好きな方。
予約をして、一度行ってみてほしいお店です。
私は、
もう一回行きたい。
今度行ったら、
たぶんまた最初の一口は岩塩です。
予約の電話から、もう優しかった
そうそう。
予約の電話をしたときのこと。
ご主人らしき方に、
「この場所、わかる?」
と聞かれたんです。
私は、
「Googleマップで行くので大丈夫です」
と答えたのですが、
そこからとても丁寧に、
「東へ行って……」
と道順を説明してくださいました。
で、ここで東京育ちの私はちょっと困る。
東……。
東って言われても、
私、今どっち向いてるんだっけ(笑)。
「右」「左」ならすぐ分かるけれど、
「東へ」と言われた瞬間、頭の中に急に方位磁針が必要になる。
でもこちらの方では、
東西南北で道を説明するのが普通なのかしら。
なんだかそれも旅先らしくて面白かったです。
結局、
Googleマップで何の問題もなく到着(笑)。
でも、ちゃんと迷わないようにと
一生懸命説明してくださるその感じが、とても優しかった。
電話口からすでに、
「あ、このお店、きっと感じがいいな」
と思ったのですが、
実際に伺ってみても、その印象はそのままでした。
大人の愉しみ蕎麦 生粉打 作美
所在地:滋賀県甲賀市甲南町野田812
アクセス:新名神高速道路「甲南IC」から車で約10分
営業:予約制
年齢制限:18歳以上
駐車場:8台
支払い:現金のみ
今回いただいたもの:愉しみミニコース 2,500円
※営業日・営業時間・価格・予約方法などは変更になる場合があります。来店前に最新情報をご確認ください。
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