津村記久子さんの新刊『サキの忘れ物』(新潮社)を読みました。


津村記久子さんの作品は、地に足のついた物語でありながら、想像力と好奇心に満ちた遊び心あふれる発想のものが多く、大好きな作家さんのひとりです。


『サキの忘れ物』も遊び心のある短編集で、読みながら津村さんの想像力&妄想力の高さにニヤニヤしました…(・∀・)


各編のあらすじを簡単にご紹介します。


「サキの忘れ物」
高校を中退し、喫茶店のアルバイトとして働く千春には、喫茶店の常連で気になる女性がいる。いつも本を読んで1〜2時間過ごしている中年の女性。どんな理由で通っているのか、どんな本を読んでいるのか、興味が湧きつつも話しかける勇気の出ないまま日が過ぎたある日、その女性が本を忘れていることに気がつき……。


「王国」
幼稚園にはいろんな子どもたちがいる。思いっきりはしゃぎ回る子もいれば、持病持ちでおとなしく過ごす子もいれば、ひとり別世界に入って、目を思いっきり上下させると見える黒い点を呼び出し続ける子もいて……。


「ペチュニアフォールを知る二十の名所」
アメリカの名所にはもうすべて行き尽くしたというそこのあなた!とっておきの観光地があります。ペチュニアフォールと呼ばれる場所は、歴史ある街のようだけれど、どうやらその歴史には不穏なものがありそうで……。


「喫茶店の周波数」
38歳独身の「私」は、紅茶専門店でラジオのように存在していることが好き。ラジオのように自分の気配を消して、まわりの人たちの声を拾っていくのだ。しかしどうやらお気に入りの紅茶専門店が閉店してしまうらしい。名残惜しく紅茶を飲みながら、これまで「拾ってきた」人たちの声に思いを巡らせる……。


「Sさんの再訪」
大学時代の友人の佐川さんから25年ぶりの連絡。
久しぶりに会うことになったがどんな子だったか思い出せず、大学時代につけていた日記を見てみるが、すべての内容がイニシャルで、どれが佐川さんかわからない。日記をなぞりながら記憶をたどるのだけれど……。


「行列」
12時間の行列に耐えると「あれ」をこの目で見ることができるらしい。連休中に特に予定のなかった「私」は、「あれ」を見ようと12時間の行列に並ぶ。「あれ」の運営会社は気を遣い、並ぶ人々が退屈しないように様々な仕掛けを凝らしてくれている。「私」は行列の前後にいる人の親切を受けながら、12時間後の体験に期待を込めるのだけれど、人が多いからこそのもめごとも起こってしまい……。


「河川敷のガゼル」
ある町の河川敷に、突然ガゼルが迷い込んできた。町の人々は仰天しつつも、柵を設けて人に危害がないようにし、ガゼルを見学できるような仕組みづくりを作り上げる。その河川敷のガードマンとして雇われた「私」は、ガゼルを見守りながら、ガゼルを見学しに来る人たちの様子も伺うのだが、見学者のなかにはガゼルに心から魅了されている人もいて、「私」は圧倒されてしまう……。


「真夜中をさまようゲームブック」
読者が主体的に物語を進めることのできる物語。
終電ぎりぎりの時間に帰宅した「僕」は、家の前まできて自宅のカギを失くしたことに気付く。不運にも家族は旅行中で、頼れる人もいない。さて、いったいどうしたものか……。
ところで、この本の100ページ以降を無作為に開いて、そのページ番組を見てほしい。その二桁目が奇数だったら②へ。偶数だったら㉗へ。


「隣のビル」
仕事の暇つぶしになんとなく見ていた隣のビル「宝ビル」。窓からは飾り気のないソファしか見えないけれど、「私」は隣のビルがどんな様子なのか想像を掻き立てる。ある日、上司に難癖をつけられた「私」は、衝動的に隣のビルの様子を実際に確かめたくなり、思い付きを行動に移してみるのだが……。


どの物語にも共通するのは「本当にいそう&ありそうだけれど、ないよなぁ」という現実とフィクションの絶妙なさじ加減です。


日常から少しはみ出たささやかなファンタジー的な出来事ほど、ちょっと大人になったわたしの心をくすぐるものはありません。


「王国」の幼稚園児の別世界に入り込む気持ちはよくわかるし、「ペチュニアフォール」の旅行案内のうさん臭さと絶妙なリアルさにフフッと笑ってしまい、「行列」の「あれ」って何だろう!?と自分も妄想力を掻き立てられ、「隣のビル」の好奇心を実際に行動に移したときのスリルにわくわくしながら読み進めました。


そしてもう一つ意識させられたのが、「他者のまなざし」です。
この物語には、「あいつ何してんの」という冷たいまなざしもあれば、見守ってくれているような温かいまなざしもあり、はたまた好奇心だけのまなざしもあります。


わたしたちは生きていくうえでこれらの「まなざし」を避けることはできません。
無遠慮なまなざしにイライラ&疲弊したかと思えば、親切なまなざしに心がホッとすることもあり、わたしたちは「他者のまなざし」に一喜一憂しながら過ごしていることを改めて実感させられました。


そしてこれらのまなざしは、自分で調整することがどうしても難しいものです。
(トイレに逃げ込むという荒技もありますが)


だからこそ、津村さんのような「想像力&妄想力」を駆使して、ホッとするような「他者のまなざし」を増やす工夫をするのも良いかもしれないなと思いました。


自分の脳みその「想像・妄想」のブースにほどよい刺激のあった、心地よい読みごたえのある一冊でした。


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