こんばんは〜!
しばらく更新が空いていました!!


その理由は、




(頭の中で)
ヨーロッパ旅行に行っていたからで〜す!!


8月はおうちトリップ強化月間として
脳内トリップできそうな小説に手を出しております。


今回読んだのは
宮本輝『ドナウの旅人(上)(下)』(新潮文庫)。


文庫本500頁超×上下巻というものすごいボリュームでしたが、宮本輝作品のおもしろさは『流転の海』シリーズでよ〜〜くわかっていたのでびびらずに手に取ることができました!!


やはりわたしの目に狂いはなく、
めちゃくちゃ充実した読書時間になりました…!!


宮本輝『ドナウの旅人』のあらすじは、ひとすじなわではいきません。


あえて一言で言えば
「ある日突然家出してヨーロッパに旅立ってしまった50歳の母・絹子を娘の麻沙子が追いかける話」
なのですが、
このひとことでは到底おさまらない壮大で複雑な人間模様が描き上げられているのです。


麻沙子がドイツに向かったのは、母から手紙をもらい、父とは離婚するつもりであること、ドイツからドナウ河に沿って東に旅をしていくことなどが書かれていたからでした。


これまで父に従順だった母の思ってもみない行動に、麻沙子は怒りと困惑の両方を抱えながらも母を連れ戻すためにドイツへ飛び立ちます。


麻沙子はドイツに留学経験があり、ドイツの友人を頼りながら母を探します。


どうにか母の行方を突き止めることができましたが、なんと母はひとりではなく17歳年下の謎の男とふたりで旅をしているということが分かったのです…!


麻沙子は衝撃を受け、より母を連れ戻す気持ちが高まる一方で、2年ぶりのドイツの街並に自分の留学時代を思い出して懐かしい気持ちと切ない気持ちがこみ上げてきます。


その気持ちは次第に麻沙子の帰国をきっかけに別れた元恋人のジークフリート・バス(通称シギィ)とのことでいっぱいになり、麻沙子はたまらなく彼に会いたくなってしまうのです。


ですが麻沙子は今回の旅の目的は母を追うことであり、帰国した際にシギィとのことは縁が無かったと忘れようと決めていたため、自分の裏腹な気持ちを抑え込もうとしていました。


しかし麻沙子とシギィの関係は友人のだれもが知るところで、ある友人が気を利かせてふたりを再会させ、ふたりはお互い忘れられない相手であることを認め合うのです…。


ここで「追いかけっこ」の中心人物がようやく揃い、母と娘の追いかけっこが本格的にはじまります。


それから彼らはドイツから東へドナウ河に沿って、オーストリア、ハンガリー、ユーゴスラビア、ルーマニアと5ヵ国を渡っていきます。


旅の途中でたくさんの人と出会い、別れ、お世話になり、トラブルに遭い、てんやわんやの人情劇を繰り広げながら、彼らはそれぞれの人生を振り返り、これからの生き方を見つめ直そうとするのです…。


ブログでは詳しく触れませんでしたが、母・絹子が連れている謎の男がこの物語がスリリングに展開するための重要な人物になります。


謎の男の正体は何者なのか、母が30年以上守り続けた家庭を投げ打ってでも旅に出た理由とは、絹子と麻沙子の絶妙な母娘関係、麻沙子とシギィの間にある葛藤など、物語が進むごとに次々と新たな問題があらわれ、彼らの旅がいったいどんな終わりを遂げるのかまったく予想がつかないまま、まさかの展開を迎えて物語は幕を閉じるのです。


下巻の後半あたりからは彼ら4人全員に愛着を抱き、最終部では読みながら寂しい気持ちがどうしてもこみ上げてきてしまいました。(『流転の海』のときと全く同じパターンにハマっています…)


そのころには母・絹子の行いの愚かさを断罪する気持ちも失せ、彼らのささやかな幸せが続くのをひたすら祈るような気持ちになっていたのです。


愚かなのが人間なのだ。
ときにずるく、卑怯になり、間違ってしまうのが人間なのだ。
そして間違ってしまったときにどうするかで人間の真価が問われるものなのだ、ということをこの物語で改めて感じました。


彼らがどんな旅をしてきたのかはこのブログではとうてい語りきれませんが、ただひとつ言えるのは、彼らは旅をしながらそれぞれ自分にとって大切なものを見極めていった、ということです。


親子の物語であり、男女の物語でもあり、旅の物語でもあり、ミステリーでもあり…『ドナウの旅人』は読みどころばかりでお腹いっぱいのひとときを過ごせる傑作でした。


ラストの寂しさが妙に印象強く残っています。旅の終わりはいつも寂しい気持ちになるからでしょうか。
ほんとうに充実したおうちトリップになりました。


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